生駒山周辺と信貴山まで  その18−2
 真言宗室生寺派月峰山「遍照院」

 信貴山の境内を出て、「大門池」を渡らず左へ進み「仁王門」を出てそのまま真っ直ぐ西へ約2キロほど下って、勢野交番の前から左(北)へ入って行くと、三郷町勢野西の「遍照院」で、毎年4月上旬なら崖の上に樹高13m、幹周り2.3m、推定樹齢250年の「シダレ桜」が見えて来ます。山門の南斜面で地上1.5mから3本に分かれて、桜独特の美しい木肌を見せ、垂れた枝に薄紅色の花をたわわに付け、参詣の方に安らぎと喜びを与えて呉れます。なお、桜が咲く頃は、拝観料を100円ほど取られますが、桜の下を通って小さな山門を入り、桜の脇を通って本堂へ上がると、上からも眺められて、100円なら割安です。
 秋留八幡神社

 「遍照院」の山門を出て、「シダレ桜」の下を通り直ぐ左(北)へ上がって行くと、大字勢野秋留の丘に「秋留八幡神社」が鎮座しています。本殿に剣、鏡、勾玉を御神体として祀り、祭神は、誉田別命(ほんだわけノみこと、即位されて応神天皇)です。また、今の社殿は、1660年(寛文元年)の建立で、他に稲荷大明神と伊勢神宮が祀られ、狛犬二基、石灯籠十六基、建物として絵馬殿、座御所があります。祭礼は、毎月1日の月例祭、3月3日、5月5日、9月9日。特別祭は、10月25日(宵宮祭24日)。他に1月16日五穀豊穣を目的とした「鬼打式」があります。
 平隆寺(TEL 0745-32-1167)

 「秋留八幡神社」から南へ下り、信貴山からの下山道を東へ辿ると、近鉄生駒線「勢野駅」で、1つ手前の踏切の側に県史跡「平隆寺(へいりゅうじ)跡」があります。聖徳太子建立寺院の1つと伝えられ、別名を施鹿薗寺、平群寺と称し、飛鳥時代のこの地の豪族平群氏建立の氏寺とも考えられ、境内に「太子駒止めの石」があり、融通念仏宗無量山阿弥陀院「平隆寺」は、江戸時代の始め旧寺跡に建てられ、参道の東側で創建当初の塔心礎の導入坑と抜取穴が、又本堂の下で東西棟と推定される建物跡が検出したけど、それ以外の遺構がなく、伽藍配置は不明ですが、飛鳥時代の瓦が多量に出土し、創建は飛鳥時代と確認されました。
 重要文化財「八幡神社」本殿

 施鹿園院「平隆寺」から近鉄生駒線を西へ行くと、次ぎが「信貴山下駅」で、そのちょっと北、信貴ケ丘の東側の外れに先程とは別の「八幡神社」が鎮座し、やはり誉田別命を祀っています。本殿は、一間社春日造、桧皮葺で、朱塗りの美しい建物です。、特に蟇股(かえるまた)、拝殿の柱から出ている鼻隠し(俗に象の鼻と云われる)の美しさ、欄間の彫刻と組物との構成が美的感覚を呼び起こす優美な建物であり、彫刻も見事で、室町時代の特徴をよく浮き出しています。そのため大正9年4月「特別保護建造物」に、また、昭和25年重要文化財に指定。解体修理で永正十壱年(1514年)九月十九日の墨書が発見されました。




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