大峯山の麓、天川村、洞川  その2

 御手洗渓谷「哀伝(あいでん)橋」

 国道309号線のバス停「天川川合」まで戻って、川迫(こうせ)川沿いに約2キロほど上流へ進むと、大峯山系から流れ出た山上川(洞川)が川迫川に合流する地点で、そこから巨岩、奇岩が織りなす滝を伝いエメラルドグリーンの水が流れる「山上川」の渓谷を「みたらい渓谷」と云い、春は若葉の新緑に包まれ、夏は岩ツツジが咲き乱れ、秋は目も眩むような紅葉が山上川の上流「洞川(どうがわ)温泉」までの遊歩道約7キロを季節毎に彩ります。なお、天川村は南朝、後南朝哀史の数々を秘めた邑で、村内至る所に史実、伝承が多く残され、その昔、南朝方や護良親王が河合寺、光遍寺、来迎院等の黒木ノ御所に潜行しましたが(次項に続く)
 御手洗渓谷「みたらい滝」

 賊徒襲来の砌(みぎり)、ここ御手洗峡の上にある観音峯(標高1347m)の洞窟へ天川郷士が案内し度々潜まれ、洞窟下の岩に次の歌が刻まれています。

 吉野山 花そ散るらん天の川 雲の包みを崩す白波

 また、長慶天皇が黒木ノ御所を出られて洞窟に潜んでいた折、賊徒が押し寄せ、やむなく逃れようとしたら誤って、増水中の「光の滝(みたらい滝の上流)」に御入水、御崩御され、ご遺体を「みたらいの渕」にてお引上げ奉わり、御物、御玉体を光遍寺、弁財天社、午頭神社、伊波多神社、国玉神社などに祀りました。
 龍泉寺(TEL 0747-64-0001)

 天川村洞川へは御手洗渓谷の遊歩道を約7キロ歩かなくても、近鉄吉野線「下市口駅」から「天川川合」経由で県道21号大峯山公園線を通って洞川温泉行のバスがあり、終点で下車、山上川を渡らず真っ直ぐ進むと真言宗醍醐派大峯「龍泉寺(りゅせんじ)」で、山上ケ岳の頂上にある大峯山寺の護持院の1つ、本尊「弥勒菩薩」です。役行者が修行中に洞川のほとりで泉を発見し、八大龍王尊を祀って水行したのが始まりで、龍王と泉から寺名を取り、後に修験道中興の祖・理源大師が再興して、修験道の根本道場です。また、洞川温泉宿は役行者の弟子・後鬼(ごき)が入山する修験者を慰労するために開いたとも云われています。




奈良観光表紙に戻る  天川村、洞川の地図を開く  前のページに戻る   次のページに進む