漆部(ぬるべ)の郷「曽爾村」  その5

 今井の「長走(ながばし)りの滝」

 「東海自然歩道(県道784号赤目掛線)」へ出て「横輪川」沿いに少し急な坂道を西へ辿ると、右手に「長走りの滝」がありますが、道からは木立が邪魔をして見えません。1540年代(天文年間)横輪川の上流「椿井谷(つばいだに)」に大蛇が棲んでいて、害するので、長野の人で武勇に優れた井上喜曽が、横笛を吹いて誘い出すと、大きな口を割き、舌を三枚出し、火焔を吐きながら襲って来ました。さすがの彼も腰に差した鉈を落とした処が「ナタ渕」で、縦に長く走って逃げた処が「長走り」です。散々逃げて、もうよかろうと覗いた処が「除き岩」、更に大蛇が追って来たので、彼は踏み止まり、矢を番え射殺しました。
 済浄坊(さいじょうぼう)の滝

 東海自然歩道(県道784号線)を上がると、途中に奥香落温泉(TEL 0745-94-2231)があり、更に上がり季節運行のバス停「目無橋」の三叉路から左(西)へ入って、「横輪川」沿いに渓谷探勝道を辿ると、右手に水煙大不動尊が祀られ、左に「済浄坊の滝」があります。滝は二段で、上が落差8m、下が落差10mの美漠です。なお、現在は石畳の道が整備されているが、昔は修練の行者がここへ分け入って、「済浄坊の滝」で水行をし、水煙大不動明王の霊を仰いだと言われ、その清涼な水は、今も岩肌を滑る様に落下して、滝壺の水辺に小魚が泳いでいるのを見ることができ、水は、奈良県の「やまとの水」に選定されています。
 多輪峯(たわみね)神社

 「済浄坊の滝」から更に石段を上がって西へ辿ると小さな滝が2つあり、車道へ出て「東海自然歩道」を西へ行くと、2.4キロで「クマタワ峠」を越えて、「室生寺」の方へ至りますが、東へ行くと、直ぐ右が「多輪峯神社」の登り口です。細い石段を100m程登ると樹間に小さな社がポツンと建っています。なおこの辺りは「多輪峰の森」の西の外れで、また、当地域は「室生赤目青山国定公園」内にあり、眺望に優れた所なので、宇陀郡曽爾村大字小長尾地区の人々の憩いの場として、平成10年〜12年にかけて県東部農林振興事務所林業振興課が整備して、「多輪峰の森」の東側、テレビ中継所の辺りに桜を植樹されました。
 国天然「屏風岩(びょうぶいわ)」

 「多輪峯神社」から下りて、また、道を東へ辿り、大きくカーブして直ぐの三叉路を右(西)へ行くと、「屏風岩(標高936m)」への道です。なお、杉木立の車道を行けども行けども、杉木立が邪魔をして、なかなか「屏風岩」が見えては来ませんが、少し上りの道をのんびり歩いて、杉木立が途切れたら、右側に写真の様にそそり立つ「屏風岩」が現れます。これもやはり国指定天然記念物で、屏風のような岩肌から名付られ、柱状節理の巨大な岸壁が5つのピークを連ねて、高さ200m、長さ1500mにも渡って続いています。春は岸壁に舞う桜吹雪が絶景で、更に進むと「屏風岩公苑」があり、夏はキャンプで賑わいます。




奈良観光表紙に戻る  曽爾村周辺図を開く  前のページに戻る   次のページに進む