月ヶ瀬  その4
 史跡「龍王(りゅうおう)の滝」

 「谷崎潤一郎」の歌碑を見て、また「五月川」沿いに更に西へ行くと、「五月川」に流れ込む「滝谷川」に「龍王橋」が架かっています。橋を渡って直ぐに、左へ曲がり、「滝谷川」沿いに山裾へ入って行くと、約2分で、役行者(えんノぎょうじゃ)の修行の地、興ヶ原江守の修行の地でもある、「龍王の滝」に至ります。真夏でも涼気に溢れ、高さ約10mを越える滝は、月ヶ瀬桃香野(ももかの)にあり、この地はその昔、1156年(保元元年)保元の乱で敗北した藤原頼長の最終の地で、皇位継承に関し崇徳上皇側に付いた頼長は、源為義、平忠正を身方に付けたが、後白河天皇と藤原忠通や、源義朝、平清盛らに敗れました。
 桃仙(とうせん)の梅

 「龍王の滝」から又「五月川」沿いに戻って、更に西へ行くと、「五月川」が北へ曲がる辺りで、県道が三叉路になった角に「桃仙の梅」が植わっています。高さ9.2m、根周り2.65m、中央目通り幹周り生木1.12m、樹齢約600年、この巨樹は月ヶ瀬の梅の起源の古さを推測出来るものとしても貴重な木です。なお又、名張川に沿って下流(北)へ行くと、高山ダム(五月川)が一望される「雲影山(うんけいざん)」の頂上にある畑家實さん宅には、推定樹齢が約400年の「カゴノキ」が植わっています。幹周り5.5m、樹高12m、クスノキ科で、暖かい地方に自生し、カゴノキは太鼓の胴等によく使用されます。
 善法寺(TEL 07439-2-0436)

 また、バス停「桃香野口(ももかのぐち)」から北にある雲影山の頂上へ向うつづら折の坂道の途中に、真言宗御室派雲景山「善法寺(ぜんぽうじ)」があります。本尊は「延命地蔵菩薩像」、また、本堂の前に市文化「石造十三重塔」が建ち、高さ3.7m、台座に延元元年(1336年)の銘があり、鎌倉時代から室町時代にかけてこの種の石造物が多いが、年銘のあるものは珍しく、月ヶ瀬最古の石造物で、なお、延元元年は、後醍醐天皇が吉野へ移り、室町幕府が開かれた年で、北朝の年号では建武3年なのに、南朝の年号で銘が彫られているのは、後醍醐天皇の南朝に関心を寄せていた人が建立した「十三重塔」と思われます。




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