旧柳生街道「滝坂の道」  その3

 首切地蔵(くびきりじぞう)

 「朝日観音」から更に石畳の道を400mほど登ると、三叉路の真ん中辺りに高さ約2mのお地蔵さんが立っています。柳生十兵衛の弟子で、大和郡山藩の指南役を勤めた荒木又右衛門が、柳生からの帰りに試し斬りをしたので「首切地蔵」と呼ばれ、像は首の所で二つに折れています。なお、彫られた年代は、彫刻の手法から鎌倉時代と思われています。また、谷川沿いに登って来た「滝坂ノ道」の石畳は、江戸時代中期に奈良奉行によって敷かれ、昭和のはじめ頃まで柳生の方面から奈良へお米や薪(まき)、炭などを牛や馬の背につけて坂を下り、夕刻に奈良で仕入れた日用品を積んで柳生方面へ帰る道として使用されていました。
 「地獄谷園地」の「新池」

 「首切地蔵」の立っている直ぐ上が「地獄谷園地」です。かなり高い所(標高366m)なのに「新池」があり、能登川の源流で、ここは、毎年11月下旬に「もみじ」が見頃です。「滝坂ノ道」に沿って池の西側にある大きな紅葉が真っ赤に色付くが、お奨めは池の北側を登って、下からは見えない東(あずま)屋へ行く途中にある数十本の「もみじ」で、お日さんに透かして見る「もみじ」が最高です。なお、「新池」には、東側に小さな橋も架かっており、池の廻りを一周する事とが出来るが、同じ「もみじ」を池の対岸へ廻って、コンクリートの丸いテーブルと椅子が置いてある池の南から眺めてもそれほど綺麗とも思いません。
 地獄谷園地「新池」の紅葉

 なお、この辺り「春日山原始林」は、国の特別天然記念物に指定され、「春日大社」と共に世界遺産にも登録されていますが、「春日山」とは、「春日大社」の東側にある御蓋山(みかさやま、標高283m)、更にその東の花山(標高498m)、芳山(ほやま、標高518m)など、これらの山々を全て含んだ総称です。平城京が栄えた昔から奈良の都人に散策の地として親しまれて来た山で、万葉集を始め古歌等にも数多く詠われています。また、「春日山」は平安時代の第54代仁明天皇の時、842年(承和8年)以来、春日大社の神域として狩猟伐採が禁じられています。だから、遊歩道以外への立入には、許可が必要です。




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