山背(やましろ)古道  その16

 左馬(ひだりうま)ふれあい公園の「左馬」

 「井堤寺跡」を後にして、東の山の方へ向かって、更に「玉川」に沿って上流へ行くと、「井手町」の東隣「和束町」へ至りますが、その途中に、JR奈良線「玉川駅」からなら東へ約2キロ程上がった川沿いが「左馬ふれあい公園」で、その奧に大きな「駒岩」があります。数百トンの花崗岩の下部、奧の方に、後ろ足を跳ね上げ躍動する馬が実に写実的な表現で半肉彫されています。平安時代後期1137年(保延3年)5月6日に水神として造立され、江戸時代には、女芸(裁縫、茶法、生け花、舞踊など)の上達を祈願する参詣者を多く集めました。、なお、元は「玉川」左岸山腹にありましたが、水害で現在地に鎮座しました。
 玉津岡(たまつおか)神社

 「左馬ふれあい公園」からまた西へ戻って、山際を過ぎる所で山裾を北へ上がって行くと、駐車場の上に「玉津岡神社」が鎮座しています。橘諸兄が一族の氏神として、731年(天平3年)9月に創立し、下照比賣命を祀り、明治11年10月5日天兒屋命、味耜高彦根命、少彦名命、素戔鳴命を合祀し、明治23年4月14日菅原道真公をも合祀し、六柱大神を祀っておられます。なお、境内に入って直ぐ右側にある建物の天井には、べったりと米寿を祝って手の平を形どった絵馬が奉納され、また、境内の台座上に神域守護の「神馬像」が飾られていますが、その馬は二代目で、初代は大東亜戦争時、物資統制令で徴用されました。
 曹洞宗「地蔵禅院」の「シダレザクラ」

 「玉津岡神社」の北隣が「地蔵院」です。元は南都東大寺華厳宗の旧跡地で、1628年(寛永5年)に千葉県東長寺物外麟応和尚を当院の開祖として勧請され、禅宗(曹洞宗)に改めたのが同じく千葉県は関東天王院至心孝察和尚で、本尊「地蔵菩薩」は、井手左大臣「橘諸兄」の持仏であったと伝えられています。井手の里を一望される高台に建っており、眼下に見える風景は「京都百景」の1つです。また、鐘楼の横に植わっている「シダレザクラ」は、1727年(享保12年)の植樹で、京都府天然記念物に指定され絢爛(けんらん)な様を誇って咲きますが、京都市「円山公園」に咲く「シダレザクラ」と兄弟木だそうです。




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