宇陀市榛原から菟田野辺り  その3−1
 宇賀神社の「子もうけ石(陰陽石)」

 「天国の井戸」から国道166号線へ戻り、バス停「宇賀志」から南へ行き、左折して東へ入ると「青蓮寺」への道で、途中に「宇賀神社」が鎮座し、「古事記」の神武東征で、兄ウカシ、弟ウカシが住んでいた所です。境内の北に陰陽の形をした「手洗い石」が置かれ、下の台が陽石(男性)で、上に乗っている鉢石が陰石(女性)を現し、夫婦でこの石を撫でると子宝が授かると云われる「子もうけ石」です。なお、宇陀市菟田野(うたの)のこの辺りは大昔に海で、この石は噴火により突出したものと考えられ、今でも地層が海底の状態であった名残として沢山の化石を含み、岩に化石が入ってるので「子もうけ石」と称します。
 県天然「無渋榧(しぶなしがや)」

 「宇賀神社」から更に東へ上がって行き、また途中で左(北)へ入る細い道を登って行くと、やがて目の前の崖の斜面に「無渋榧(Torreya nuda Miyoshi)」が植わっています。別名「白米榧(はくまいがや)」とも云われてますが、種子は、渋い皮が新鮮なうちは種心に密着し、後で乾燥すると種心から離れて白米の様になるとっても不思議な榧(かや)です。なお、この「無渋榧」は、根本の幹周りが約2mほどあって、昭和32年6月13日奈良県指定天然記念物になっています。また、榧は、イチイ科の常緑高木で、4月頃花が咲き、胚乳は食用とし、また、実から搾り採った上等の油は、食用、灯用、理髪用に用いられました。
 宇賀志川の「鼓(つづみ)ケ滝」

 また、道へ出てから更に登り、鬱蒼とした杉木立の間を通って、道の右(南)側を流れる「宇賀志川」へ下りて行ったら、滝を落ちる水音が一段とさわやかになり、川の奥まった所に小さな「鼓ケ滝」が見えて来ます。水音が鼓を打つ音に似ているので滝の名をその様に付けられた滝です。もっともこれより小さな滝は「宇賀志川」には無数にありますが、登りのちょっときつい山道からは、杉木立が邪魔をして見えません。それでもせせらぎの音が少し高く大きくなるので判ります。また、山道を更に登ると、車なら行き止まりに「手水舎」が建っていて、柱にくくり付けた箱の中に「日張山用の杖」が10本以上差し込んであります。




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