葛城山および葛城古道  その4

 葛城天神社(かつらぎてんじんしゃ)

 葛城山ロープウエイを上がり、「葛城山上駅」から20m行くと、左側に鳥居が建ち、手前に「大日大聖不動明王」が祀られ、奥に「葛城天神社」が鎮座しています。祭神は、「日本書紀」で最初に現れ出た「国常立(くにとこたち)命」ですが、「古事記」では、高天原(たかまがはら)へ第六番に現れ出た神です。なお、ここの境内は、「天神の森」と称せられ、古代祭祈の遺跡で、加茂(鴨)氏の祖加茂建角身命(かもノたけつみノみこと、八咫烏)の神跡とも伝えられ、「鴨山」とも呼ばれています。古来、葛城地方に繁栄した加茂氏を始めとする諸氏族が天つ神の御神徳を敬い奉仕し、国土安全万民快楽五穀豊穣を祈りました。
 葛城高原山頂付近

 葛城山の山頂は、「篠峯山」と呼ばれ、比較的なだらかな高原で、「二等三角点」が設置され、また、山頂の周辺には、ツツジ園、小鳥の楽園、理想の森等を巡るツツジ観賞路、自然研究路が在り、葛城山を縦走して水越峠から南隣の金剛山(標高1112m)へと続くダイヤモンドトレールコース等も整備され、更に施設として、展示場の在る葛城山ビジターセンター。160名収容の大広間が在る葛城高原研修センター。テント45張・バンガロー・貸山荘の有る「葛城高原キャンプ場」。和室22室100名収容できる「葛城高原ロッジ」は、5月1日〜9月30日「カモ肉バーベキュー」、9月1日〜5月31日「カモ鍋」です。
 葛城古道から見た「大和三山」

 また、麓の「六地蔵石仏」の所へ戻って、そこから南へ900m歩くと、「九品寺(くほんじ)」ですが、途中で歩きながら所所で時々振り返ると、大和三山の畝傍山と、べたっとした香具山が見え、更に南へ進むと、耳成山も見えて来ます。平坦な奈良盆地に小さな山となって浮かび出ている大和三山は、古代に日本の自然美の象徴として万葉歌人にも親しまれた山です。三山伝説に因む中大兄皇子(後の天智天皇)の歌は、

 香久山は 畝火ををしと耳成と相争ひき神代より
 かくにあるらし古も しかにあれこそうつせみも
 妻を争ふらしき    万葉集巻1−13




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