室生と大和富士周辺  その3

仏隆寺の東側に立つ「赤埴の大カエデ」

 仏隆寺では、巨樹の「モチヅキ桜」が有名ですが、境内を出て東側の水車小屋のすぐ上、室生古道の脇に「赤埴の大カエデ」も植わっています。毎年11月末写真の様に紅葉し、そこから室生古道を約1.1キロ登ると「唐戸峠」で、屋根だけの休屋が建って、その前の小さな祠の中に役行者の石像が祀られています。峠を下ると4.5キロで「室生寺」ですが、下り坂の途中右に「カトラ新池」も在り、また北の室生ダムへ流れ込むせせらぎの深谷川が室生古道に沿って流れ、室生寺まで約1.5キロの地点の三叉路で、天王橋を渡って竜鎮渓谷へ向かう深谷川と別れ、しばらく下ると「衣掛け松」の隣に「腰折地蔵」が立っています。
室生古道、唐見が辻の「腰折地蔵」

 「室生寺」へは、四方向から古道が通じ、それぞれの道筋に建つ四寺を「室生寺の四大門」と呼んで、東は宇陀市室生田口の「長楽寺」、西は宇陀市室生大野の「弥勒寺(通称、大野寺)」、南は宇陀市榛原赤埴の「仏隆寺」で、北は三重県赤目町の「常勒寺(通称、丈六寺)」です。なお、「室生古道」は南門の「仏隆寺」から「唐戸峠」を越える5.6キロほどの道ですが、後1キロばかりの地点を、「唐見が辻」と云い、二代目「衣掛け松」が植っていて、隣の苔むした萱葺きの屋根の下に「腰折地蔵」が道に背を向けて南向きに立ち、目前の大きな百日紅(さるすべり)と対面され、近くの小石仏と共にいずれも江戸時代の作です。
融通念佛宗「西光寺」

 室生古道から早「室生寺」の屋根が室生川の谷底に見える所のちょっと手前に無住の「西光寺」が建ち、古道に面した境内に写真の様な巨樹、樹齢約300年「城之山枝垂桜」が植わっており、毎年4月薄紅色の美しい花を咲かせます。なお、本堂は四間四面の入母屋造りで、屋根は茅葺ですが、今は表面を亜鉛並板で覆っています。開基は、1580年(天正8年)で、西光寺に現存している位牌等には、古くは室町時代の長享元年(1487年)、江戸時代は中期の元禄3年(1690年)や、享保(1720年頃)、そして、安永(1770年代)の年号なども刻されています。




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