「大淀町」  その3
 薬水(くすりみず)大師(弘法の井戸)

 「大阿太高原」から北西の「金剛山」、「葛城山」を見ながら西へ下ると、近鉄吉野線「福神(ふくがみ)駅」、「薬水駅」へ至りますが、逆に無人で改札口のない「薬水駅」から和歌山方面へ向かう道をちょっと南へ行き、直ぐ左へ折れ、小川に沿って東へ行くと、近鉄吉野線の下でアーチ式レンガ造のトンネルを抜けて、旧道を少し行った左側の奥まった所に「薬水大師堂」があり、堂の後に弘法大師が、室生寺から高野山へ向かう途中、疫病で困っていた村人に教えた井戸があり、ここの水を飲んで病が治ったそうです。また、善からぬ人がここで米を研ぎ、むつき(ふんどし)を洗ったら、その祟りで目が見え無くなったそうです。
 薬水八幡宮

 「薬水(くすりみず)」の地名発祥「弘法大師さまの井戸」から、また旧街道を南東へ向かうと、右手に「薬水公民館」があり、なお、更に旧街道を東へ進み薬水の集落の外れに至って、ちょっと高台になった右側の石段を上ると「薬水八幡宮」が鎮座しています。境内には、杉、檜、コイジ、アラカシ等の大木が生い茂り、周辺には、トキワトラノオ、ヤブムラサキ等が見られ、境内の裏が近鉄吉野線で、線路沿いに、レンギョウ、キセルアザミ、キツネノボタン等が見られ、また、本殿に向かって境内の右側に信貴山別院「福神山薬水毘沙門天王」があり、堂内の「鹿子(かご)の木」の厨子に金銅の「毘沙門天」を安置しています。
 町指定有形民族文化財「石塚遺跡」

 「薬水八幡宮」から更に東へ行き、近鉄「福神駅」の辺りから坂道を登ると、先程の「大阿太高原」で、「西部配水場」の塔を見て、坂を下ると、国道309号線の「車坂」の下に出て、左の旧道を上って行くと「石塚遺跡」があります。直径30m、高さ7mの円形の石塚で、大峯信仰、山上詣での「第一の行場」として、西国(大阪、堺方面)の修験者が、河内〜竹内峠(あるいは水越峠)〜御所〜今木〜ここへ至って、金峯、大峯の諸山を一望の内に眺め、各人それぞれが懐などに入れて持って来られた5〜20cm大の出生地の石を積み上げ、はるか南東の金峯山上ヶ岳を伏拝し、道中の安全と満行を祈念したと云われています。


石塚遺跡周辺から金峯山を望む

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