漆部(ぬるべ)の郷「曽爾村」  その3

 「曽爾高原」から「二本ボソ」を望む

 「室生赤目国定公園」の中にあって、奈良県宇陀郡曽爾村と三重県美杉村に股がり、倶留尊山(くろそやま、標高1038m)〜亀山(かめやま、標高749m)峠の西に広がった芝生の辺りが「奧香落(曽爾)高原」です。麓の「極楽寺」から徒歩3キロ40分、春から夏は「お亀池」を中心に緑一色に染まり、秋はススキの穂が風に揺れ、なお、周囲800mの「お亀池」は沢桔梗や真アザミなど湿原植物の宝庫で付近一帯は室生火山群の噴出による独特の地形を見せ、大和には珍しい牧歌的な景観です。また、東海自然歩道の「亀山峠」を越えて東側に下りると、三重県の美杉村にも、広大な湿原「池の平高原」が広がっています。

 「亀山」と、今は水の無い「お亀池」

 昔、美杉の太郎生村から太郎路村へ「お亀」と云う女が嫁に来ました。所がどうしたことか、「お亀」は子が生まれると、さっさと実家へ帰ってしまい、困り果てた婿さんは夜泣きする子を抱えて、「お亀」の所へ出かけて行きましたが、途中の山の池まで来ると、「お亀」が出迎えて、「これっきりですよ」と云って約束し、子供に乳を飲ませましたが、婿さんは翌日も禁を破って泣く子を連れて出かけると、池の中から姿を現した「お亀」はたちまち大蛇になり、大口を開けて襲いかかりました。命からがら逃げ帰った婿さんは間もなく亡くなり、その後、大蛇も山火事で焼け死にました。それからこの池を「お亀池」と呼んでます。

 左(北)「倶留尊山」と、右(南)「二本ボソ」

 「お亀峠」から尾根道を北へ辿ると、私有地につき入山料が必要ですが、「奧香落(曽爾)高原」の最高峰「倶留尊山(くろそやま、標高1038m)」へ至ります。山頂はもちろん「鰯(いわし)の口」と呼ばれる途中の「二本ボソ(標高996m)」からの眺めがよく、南に直ぐ「後古光山(標高892m)」や、「古光山(こごやま、標高953m)」、その彼方には「高見山(標高1249m)」、「大台山系」が、東に「三峰山(標高1236m)」、「大洞山(標高985m)、「尼ケ岳(伊勢富士、標高958m)」が望まれ、また、「倶留尊山」の山腹にある石仏像に似た巨岩は、「拘留孫仏」として信仰されています。




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