日本一広い村「十津川」  その9

 「玉置神社(TEL 07466-4-0500)」

 十津川村の東南、大字玉置川領に位置する「玉置山(たまきやま、標高1076m)」は神武東征で皇軍が熊野上陸後、ここで兵を休め、その頂上近くに鎮座する総欅(ケヤキ)造の「玉置神社」は紀元前33年(崇神天皇65年)第10代崇神天皇が王城火防鎮護と悪神退散のために創建された古社で、平安時代は大峰修験道の本拠地であり、熊野三山権現の奥の院として栄え、皇族方の多くが参拝された記録が残っています。後に1727年(享保12年)京都聖護院門跡派に属し、七坊十五カ寺が境内に点在し、僧侶も数百人を擁したが、明治維新の神仏分離により、現在の「玉置神社」に改称され、祭神は国常立尊と他3柱です。
 県天然「神代杉(しんだいすぎ)」

 「玉置神社」の本殿のちょっと西側、杉戸を開けて入った山の斜面に「神代杉」が植わっています。推定樹齢3000年、幹周り8.4m、樹高20m、直立した主幹はまるで大きな岩石ですが、幹の内部は空洞で、樹皮は殆ど無く地肌を見せ、宿り木が群生して、枝先は天に向かって伸び、その名にふさわしい風格を湛えています。その他「玉置神社」の境内一円には、幹周り8.5m、樹高25mの「夫婦杉」、そして又幹周り10m、樹高38mの「常立(とこたち)杉」や、幹周り8.7m、樹高が40mにも達する「盤余(いわれ)杉」、幹周り7.0m、樹高28mの「浦(うら)杉」など、幹周りが8〜10m、樹高30〜50mに達する巨杉群がごろごろと植わっています。なお、日本特産のスギは、スギ科の常緑針葉高木で、全国各地に自生し、植林も広くなされて来ましたが、古代より建築用材として多く利用された為、全国的に巨樹・老木がほとんど無くなりつつあるのに、「玉置神社」境内には、今でもスギの巨樹が多数あります。
 奈良銘木十選の1つ「大杉(おおすぎ)」

 その中でも、「玉置神社」本殿の前から石段を下りて、左(東)へ曲がって、笹藪の中を更に東へ下りて行くと、眼前のちょっと下、山中の緩やかな斜面に、奈良県下では最大の幹周り10.3mを持つ「大杉」が植わっています。樹高45m、内部に空洞もなく、まだまだ大きくなる可能性があり、立派な大杉です。なお、これら「玉置神社」の境内にあって1000m級の高山に多数生育する杉の巨木は、高山では極めて珍しい事とされ、学術的にも価値が高く、「杉の巨樹群」は、昭和34年4月1日奈良県指定天然記念物になっていますが、「玉置山」そのものは昭和58年に「日本の森林浴百選」に選ばれています。なおまた、「玉置神社」の本殿に向かって右の方へ行くと、現在「玉置神社の社務所」として使用されている建物があり、1804年(文化元年)に建てられた旧高牟婁院(たかむろいん)ですが、その造は、書院造、背面が懸造(吉野建)で、内部中央に十部屋を取り、周囲に縁を巡らし、台所と共に国指定有形重要文化財です。




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