「笠置山」  その9

 「布目川」の「甌穴(おうけつ)」

 小さな「布目川発電所」の塀に沿って右に曲がると左側が「布目川」です。川沿いに北へ向かうと、直ぐ「布目川」の河床に「甌穴(ポットホール)群」が、木の間隠れに見えてきます。なお、「甌穴」とは、川底の窪みに渦巻き流が生じて、中に落ち込んだ小石が回転しながら河床を深く削って出来た珍しい穴のことです。特にここ「布目川」では、堅い花崗岩からなる河床に出来たその「甌穴」が、今の様な穴になるまで小さなものでも数十万年、写真の様な「甌穴」よりもちょっと大きなものになると数百万もかかって作られたと推定されています。なお、関西における「甌穴」は、吉野川の「宮滝」にもっと大きなのがあります。
 「布目川」に架かっている「勧請縄」

 「布目川」の「甌穴群」を見ながら川上へ辿ると、西から流れて来た「布目川」が、北へ流れを変えて、「木津川」へ向かう湾曲した所の下流に長さ約30mの「勧請縄(かんじょうなわ)」が張られ、これは、笠置町の飛鳥路地区集落内に不浄のものが入らない様にした注連縄(しめなわ)です。なお「勧請」とは、元々が神仏の分身、分霊を他の地に移し祀ることですが、この場合は、「勧請縄」を張ってわざわいの神を追い払い、神聖な場所と不浄な外界を区別し、病根等の悪霊が集落に入るのを禁止する役目をしています。また「勧請縄」は、年の始めに新調され、藁で男女の性器を形作ったものと幣が交互に付けられています。
 「天照御門(てんしょうみかど)神社」

 「勧請縄」が架かっている所から、ちょっと進んで橋を渡り、「布目川」沿に右へ行くと、殿様街道とも云われる「布目川散策コース」、終点の「布目ダム」まで約5キロ。左へ行くと、「木津川横断コース」、笠置町飛鳥路の集落を通って、木津川に架かっている「潜没橋」を渡り、国道163号線を西へ少し進んだ所まで約4キロ程あります。また「布目川」から離れ北へ向かう「木津川横断コース」は「東海自然歩道」でもあり、途中で右へ曲がり東へ辿ると、道の左側に江戸時代末期の大庄屋「庄七翁終焉之地」の顕彰碑が建っていて、そこから右へ反れると大きな木が繁った森の中に小さな「天照御門神社」が鎮座しています。




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