漆部(ぬるべ)の郷「曽爾村」  その4

 国天然「鎧岳(よろいだけ)」

 「曽爾高原」から「東海自然歩道」を西へ4キロ程下りて、バス停「葛(かずら)」まで戻り、更に西へ辿ると、曽爾諏訪の西側に「鎧岳(標高894m)」が聳え立っています。西隣の兜岳、屏風岩と合わせて「曽爾(そに)三山」と呼ばれ、いずれも国指定天然記念物です。その昔、「倶留尊(くろそ)山」が噴火した時、流れ出た溶岩によって形成されたと云われ、その迫力ある山容が、あたかも武者が鎧(よろい)を付けたように見える所から「鎧岳」と名付られて、特に、山腹の100m〜200mもある3段の柱状節理の岩壁は、鎧の胴にたとえられ、威風堂々とした趣が人気を呼んで、数多くのハイカーに好まれています。
 県天然「ヒダリマキガヤ」

 「東海自然歩道」からちょっと北へ外れて「鎧岳」の南側を通ると、山中に県指定天然記念物の「ヒダリマキガヤ」の群生が見られます。元々「カヤ」の果実や種子は、変化性に富み「ヒダリマキガヤ」は、その一変種で、核殻の螺旋状線が左巻のものと右巻のものとがあり、左巻の数が右巻の数より多いので「ヒダリマキガヤ」と呼ばれ、植物学上珍しい種類です。ここ「鎧岳」の麓では、この種類のものが12本群生し、他の地域では余り類例がありません。なお、カヤは、碁盤、将棋盤などに用いられ、実から油を採取していました。「ヒダリマキガヤ」の群生地を抜けて、更に「鎧岳」の麓に至ると「金強神社」が鎮座してます。
 国天然「兜(かぶと)岳」

 「金強神社」は、「金強稲荷社」と彫られた石碑の横に建つ石の「鳥居」の所から急な山道を30分ほど登った所に小さな社がありますが、そこから目の前に見える「鎧(よろい)岳」へは登れません。鳥居の前から西へ廻って、1.6キロで「鎧岳」の山頂です。また、西へ1.9キロ辿ると、やはり国指定天然記念物「兜岳(標高920m)」の山頂へ至ります。こちらも柱状節理が雄大な山容を見せ、春には山吹や、岩ツツジが彩りを添えます。なお、峰坂峠を越えて「兜岳」山頂へのコースは、かなりの急斜面で危険な山道ですから、歩行要注意です。また、山頂へ登らずに、南へ下りると、再び「東海自然歩道」に出会います。




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