二上山の麓、當麻の里  その1

 式内大社「長尾神社」

 近鉄南大阪線・磐城(いわき)駅から南へ200m行くと、「竹内街道」の始点に「長尾神社」があり、広大な長尾の森の神域に鎮座される祭神は、白蛇の姿で降臨された水光姫命で、太古以来、飛鳥京と難波を結ぶ日本最古の官道であった竹内街道や、伊勢・長谷街道が吉野・壺阪から下田・王寺を経て堺へ至る長尾街道を行き交う人々を守護する神でした。なお、昔、大和には大きな蛇が住んでいて、三輪山を三重に取り巻き、その尾は長尾まで届き、蛇の頭が三輪明神で、尾が長尾神社と伝えられ、また、長尾神社は東面し、大和高田市の竜王社は西面して、両社は相対し、竜王社が竜の頭で、長尾神社が竜の尾とも伝えています。
 長尾神社の「拝殿」

 東側から「蛙の狛犬」を見て、鳥居を入った正面が長尾神社の「拝殿」です。昭和11年新築の瓦葺、単層入母屋破風掛造、拝殿の正面に明治17年に再建された入母屋造の祝詞屋があり、渡廊下で拝殿と繋がっていて、本殿は、二社並立しており、向拝が付された素木の春日造を基本にした紫宸殿造で、軒は二重繁垂木、桧皮葺の屋根には千木堅魚木が配されています。なお、毎年10月4日長尾神社の例大祭の夜、初宵宮詣があり、氏子中が参拝します。中でもこの1年の間に誕生した子は、氏子になった印として拝殿左の絵馬殿に男子は武者、女児は尉(じょう)と姥(うば)の絵を奉納するが、古い物は1778年の物もあります。
 長尾神社絵馬殿の「絵馬」

 長尾神社の「絵馬殿」は、拝殿に向かって直ぐ右に建っていて、通常は格子戸の扉が閉まっているように見えますけど、扉を押さえている樽木を外すと簡単に扉が開くので何時でも「絵馬」を見せてもらえます。写真の大絵馬は、江戸時代の1779年(安永8年)9月4日に奉納され、女児誕生を祝った絵馬の様で、謡曲の「高砂」に登場する老翁の「尉(じょう)」と老嫗(ろうう)の「姥(うば)」でなさそうですが、それでもお目出度い絵の様です。この他に明治36年9月に奉納された男子誕生を祝う黒馬に乗った武者の大絵馬も1つ掛かっていますが、後は何れも大絵馬の1/20ぐらいで、白馬や姥のみが描かれています。




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