山背(やましろ)古道  その17

 絶世の美女「小野小町塚」

 「玉津岡神社」と「地蔵院」の長い石段を下りたら参道の横手に「小野小町之墓」が建っています。小野小町は、平安時代前期の女流歌人で、六歌仙の1人、840年頃(承和年代)仁明天皇の時代に宮廷に仕えた事は確かですが、その生涯は謎に包まれています。「冷泉家記」によると、「小町六十九才井手に於いて死す」とあり、また「百人一首抄」にも「小野小町のおはりける所は山城の井手の里なりとなん」と記されており、小野小町は、晩年を井手で暮らした様です。

 色も香も なつかしきかな 蛙鳴く
 井手乃わたりの 山吹の花  「新後拾遺和歌集」
 谷川ホタル公園

 「小野小町塚」から北へ行き、蜜柑や柿、お茶畑が続く「多賀の果樹園」を抜け、「南谷川」の「高橋」を渡ったら、川沿いに北東へ向かうと「宮の前橋」に至り、そこが「谷川ホタル公園」です。毎年6月には「源氏蛍」が舞い、「蛍コンサート」も開かれます。なお、日本に生息するホタルは、約34種にも及び、そのうち水棲(すいせい)と云われているのは「平家蛍」と「源氏蛍」の2種のみで、他の蛍は、「姫蛍」の様に生涯陸上で生活します。また、「源氏蛍」は、北は青森から本州、四国、九州の全域に生息していますが、水が綺麗である事が条件で、これは「源氏蛍」のエサである「カワニナ」にとっても大切な事です。
 式内郷社「高(たか)神社」

 「宮の前橋」の直ぐ前の鳥居をくぐって長い階段を登り切ったら現れるのが、緑に包まれた中に鎮座する「高神社」です。711年(和銅4年)創立、三間社流造の本殿は、1604年(慶長9年)に建てられ、京都府指定の文化財です。なお、当社には鎌倉時代の獅子頭や井手町内の歴史が綴られた古文書も多く保管されています。また、境内を含む「鎮守の守り」は、昭和58年4月15日京都府教育委員会により文化財環境保全地区に指定され、「京都百景」の1つです。秋祭りは、10月13日、14日で、13日午前中が「宮衆祭」、午後が「宮座祭」。14日10:00〜例大祭、午後が可愛らしい子供「御神輿」巡幸です。




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