河合町から、かぐや姫の里・広陵町へ  その7

 小北(こきた)稲荷神社

 「三吉石塚古墳」「新木山古墳」から又東へ戻って、「高田川」を渡ったら直ぐ北上すると、三吉の北東に「小北稲荷神社」が鎮座しています。社伝によると、天孫降臨供奉の三十二神に稲荷の五柱と小北大明神を合わせて三十八社があり、小北大明神は鼠小姫命とも云い保食神に供養した神で、1383年(永徳3年)領主箸尾宮内少輔が神殿を再建したけが、東大寺大仏殿が兵火で焼けた後、1567年(永禄10年)11月当社も兵火にかかり、1576年(天正4年)の復興後は、江戸時代に郡山藩主柳澤氏の保護寄進を得て、本殿は、一間社春日造檜皮葺(今は銅板葺)、拝殿との間に祝詞屋を設け、繋ぎ前方に神楽殿があります。
 十一面観音を祀る「正楽寺観音堂」

 「小北稲荷神社」から少し東へ行って、バス通りを渡り更に東へ行くと、南側に小さな「正楽寺観音堂」が建っています。本尊は、奈良県指定文化財、2mを超える仏像で、広陵町内で最大の十一面観音像です。製作は、平安時代末期(12世紀後半)と考えられ、平成7年の解体修理中に発見された墨書銘(ぼくしょめい)から僧・永覚(えいかく)の縁者の祈願により造立されたことが判りました。なお、檜(ひのき)の寄木造(よせぎづくり)で、体幹部を正面2材、背面4材から造る構造は、当時の大像製作の特徴をよく示しています。また、肩幅が広く、腕をゆったりと構えた姿は、均整がとれて、表情がおだやかな仏様です。
 「八坂神社」の欅(ケヤキ)の巨樹

 「正楽寺観音堂」から道を挟んで東隣に建つのが、「八坂神社」です。本殿は、春日造檜皮葺で、拝殿は問口六問です。祭神は素戔鳴尊(すさノおノみこと)を祀っています。また、境内に広陵町指定天然記念物「ケヤキ」が成育しています。幹は、地上2.5mで二股になって、幹周囲は4.34m、樹高約25m、枝張りは南北21.7mあり、樹勢は今も旺盛で、古くから開けた奈良盆地にあって、この様な巨樹が残るのは珍しい事です。なお、欅は、ニレ科の落葉高木で槻(ツキ)の別名をもち、万葉集にも詠まれ、山中、川岸に点在し、社寺の境内に植えられることが多く、欅材は、極めて有用で、建築材、家具材に用います。




奈良観光表紙に戻る  広陵町地図を開く  前のページに戻る   次のページに進む