「大塔町」から平家落人の里「野迫川村」と「高野山」  その2

 「天ノ川」下流の「猿谷貯水池」

 御所市大塔町天辻から国道168号を南へ行くと、次が大塔町坂本で、大塔町の北隣の天川(てんかわ)村から流れてくる「天ノ川」を猿谷ダムで堰き止めた「猿谷貯水池」に出会います。吉野の山塊に挟まれた貯水池に沿って暫く進むと赤く塗られた「大塔橋」に至り、昭和30年に近畿地建が松尾橋梁(株)に発注して架けられた総重量167トンのワーレントラス、昭和51年関西電力の発注により補強されています。「大塔橋」を渡ると、三叉路の正面がバス停「坂本」3階建ての旅館「昭和館」が建っています。三叉路を左(東)へ行くと、県道53号高野天川線で、また、右(西)へ行くと、十津川村から新宮市へ至ります。
 猿谷貯水池の「中原橋」

 バス停「坂本」から「猿谷貯水池」を右下に見て、国道168号線を南へ向かうと、バス停「小代下」でまた三叉路に出会い、左(南)へそのまま進んだら、国道168号線で、国道の下を流れる「天ノ川」は、途中から「十津川」、「熊野川」と名を変えて熊野灘へ流れ込み、また、三叉路を右(西)へ曲がって直ぐ、「猿谷貯水池」に架かっている「中原橋」を渡ると、県道53号高野天川線で、「猿谷貯水池」に流れ込む「中原川」に沿って吉野郡「野迫川村」へ行けます。しばらくは幅の狭い県道53号高野天川線を走って、森林浴気分を味わい、バス停「野迫川今井」に至ると野迫川村役場まで13キロ、高野山へ14キロです。
 猿谷ダム(TEL 0747-36-0031・0208)

 県道53号高野天川線の「中原橋」を渡らず、猿谷貯水池に沿って国道168号線を南へ向うと、やがて前方に水面が鏡の様な「猿谷ダム」が見えて来ます。なお、ダム建設は、昭和28年から始められて、昭和33年の春に完了し、当時の金額にして86億円の巨費を投じ、場所は新宮川の上流に位置し、更にその上の大峰山脈から流れ出す水を貯水していますが、ダムに留められた水は、天辻分水トンネルを通って吉野川(紀の川)の支流・大和「丹生川」に分水し、紀の川筋の市町村の潅漑用水(かんがいようすい)として使用され、また、分水されて出来る水の落差を利用して西吉野第一発電所で水力発電にも利用されています。
 戸野氏旧宅の西教寺(さいきょうじ)

 「猿谷ダム」を過ぎたら、バス停「大塔支所前」を左に折れて、「宮谷川」沿いに狭い道を東へ入ると、大塔町殿野(とのの)で、三叉路に龍神を祀り、湧水が出ています。また、三叉路を左へ上がり、道成りに右へ折れると、集落の中央、高台の白いトタン屋根が浄土真宗本願寺派仏光山「西教寺」、本尊は江戸時代初期の阿弥陀如来、開基は戸野兵衛(とのひょうえ)尉定清の子、鶴若麿(法名重信)、当寺は戸野兵衛の旧宅で、彼は、1333年(元弘3年)「元弘の変」の時、大塔宮護良(おおとうノみやもりなが)親王を助け、梵鐘に「数々の恨みを返せ月の声」と彫られ、「天明二年(1782年)仲秋」の刻銘があります。
 「竹原八郎の墓」

 「殿野」の集落から西へ下りて、また国道168号線を「天ノ川」に沿って南へ行くと、国道の左側で、国道に沿ってちょっと崖を登った所に「竹原八郎」の墓があります。彼は、1333年(元弘3年)10月「元弘の変」の時、十津川村谷瀬に「黒木御所」を築いて、後醍醐天皇の第一皇子・大塔宮護良(おおとうノみやもりなが)親王を迎えた土豪で、戸野兵衛らと供に親王を助けてお守りしました。なお、彼の墳墓と云われる「五輪の搭」が十津川村谷瀬辺りの河原にもありましたが、明治22年8月の水害で川底に埋まり、今はここだけに墓があり、竹原家が墓守をされ、お墓の前の碑文は、七卿の一人・東久世通禧の書です。
 水車小屋(TEL 07473-6-0333)

 なお、「竹原八郎墓」がある国道168号線の方を通らず、大塔支所の前から天ノ川沿いに下りて橋を渡る手前に「水車小屋」があります。今でも稼働しているジャンボ水車を利用して、昔ながらの、つき臼、ひき臼で、粟(あわ)、稗(ひえ)、黍(きび)、蒟蒻(こんにゃく)などの精白、製粉を水車屋でコットンコットンやっておられ、他に鮎のオトリも販売しています。また、天ノ川の橋を渡って天ノ川沿いに南へ行くと、対岸上を国道168号線が平行して走っり、しばらく南へ向うと、「舟ノ川」が「天ノ川」に東から注いで、舟ノ川に上下新旧2つの「宇井橋」が架かり、「新宇井橋」の右側袂に「夢乃湯」が見えます。
 大塔温泉「夢乃湯(TEL 07473-6-0058)」

 旧道をそのまま真っ直ぐ進んで、「天ノ川」に注ぐ「川原樋川」沿いに西へ行くと「赤谷オートキャンプ場」を通り「野迫川村」へ至りますが、左へ曲がって「天ノ川」を渡り、国道168号線へ上がった所に、「ふれあい交流館」があります。平成9年にオープンして、館内にレストランやカラオケボックス、ジムや図書館などが入った複合施設で、階下に降りていくと大塔温泉「夢乃湯」で、大浴場の他に露天風呂、ジャグジーやジェット噴射の超音波気泡湯、低温サウナがあり、入湯料800円で、11:00頃〜21:00迄やっています。なお、休館日は、毎週水曜(祝日の場合はその翌日)と、12月30日、1月1日です。
 野川大弁才天社(TEL 07473-7-2150)

 県道53号高野天川線を東から西へ走って、野迫川(のせがわ)村の北辺を縦断すると、その途中にバス停「今井辻」があり、北からの県道川津高野線と交差して、「辨天橋」の手前に「野川大弁才天社(厳島神社)」があります。なお、駐車場とトイレは、橋を渡った「高野大峰スズカケライン道のオアシス弁天」にあり、「遊遊ブリッジ」を渡って丘を越えて戻ると、空海建立の「野川の弁天さん」として親しまれている財宝の神様で、お寺の「妙音院」と同じ境内にあり、本尊の「大弁財天女像」も空海の手によるものと言われ、また、「妙音院」の裏に野外ステージがあり、更に裏山の階段を登ると、遊歩道や展望台もあります。




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