唐招提寺の見所

 まず南門を入るとき、上を見上げると「唐招提寺」と書かれた額が懸かっていますが、字は聖武天皇の娘、孝謙天皇のお書きになった文字です。そして、南門を入ると、正面に金堂が見えますが、そのエンタシスの柱の建っている間隔は、等間隔でなく、中央が広く両端へ行く程少し狭くなっています。もっとも、これは唐招提寺だけでなく、奈良のお寺はこれが普通です。

 金堂の御仏は、左から千手観音、盧舎那仏、薬師如来ですか、これは、日本三戒壇、福岡の観世音寺、唐招提寺、栃木の薬師寺の本尊を並べたものです。

 なお、金堂の裏が講堂で、この建物は、唯一奈良時代の物で、平城京の東朝集殿を移築されています。また、講堂の本尊は弥勒菩薩でなく、すでに修行を終えた弥勒如来のお姿で安置されています。

 講堂の西隣に吊るされている梵鐘に彫られた文字をよく見ると、唐招提寺は奈良の右京だのに、鋳込みの際の間違いで、「左京唐招提寺」になっています。

 また、講堂の東に「新宝蔵」があり、館内では鑑真和上が来日のとき、玄界灘で海に落ちた仏舎利を拾ってくれた亀の姿を模した香炉を陳列しています。そして、境内の石段の横にたっている句碑は、1692年(元禄5年)松尾芭蕉が奈良に来られたときに詠んだ句を刻んでいます。さらに、境内の奥に建っている「御影堂」の庭に植わっている飾り木は、左近の桜でなく、梅になっていますが、これが古い仕来りで、桜は後の仕様です。

 なお、「御影堂」の西側に植っている「けい花」は、日本でほとんど見られない花で、鑑真和上の故郷、中国揚州から送られ、和上の命日月6月に咲きます。また、「御影堂」に安置されている鑑真和上像は、和上の命日6月6日を挟んで、1週間開扉されますが、ちょっと見には、重そうだけど、あれは中が空洞の張子の像で、子供でも持てる軽い像です。鑑真和上に関することをお知りになりたければ、井上靖著「天平の甍」をお読み下さい。詳しく載っています。

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