飛鳥  その3−3
 「飛鳥川」と「稲渕」の「棚田」

 ミワ山、フグリ山を下りて、また、県道15号桜井明日香吉野線を南へ辿ると、山間を縫って一筋「飛鳥川」が南から北へ流れ、傾斜地に段丘状の「棚田」が幾層にも折り重なって、北側の飛鳥とまた違った古代からの原風景を見せ、秋の取り入れの頃には、畦道に彼岸花が咲き荒れ、案山子ロードにユニークな「かかし」が立ち並び、「彼岸花祭実行委員会かかしコンテスト事務局(TEL 0744-54-9200)」によって、かかしコンテストが行われます。なお、各回のかかしコンテストのテーマに従い、縦・横2m、重さ20キロまでの「かかし」を作って、8月末の日曜日に稲渕の棚田ハウスへ持参すると、11月下旬まで展示されます。
 稲渕(いなぶち)の勧請縄(男綱)

 また、「飛鳥川」に沿って県道15号線を南へ行くと、「勧請(かんじょう)橋」の上流に稲渕の勧請縄(男綱)が「飛鳥川」を跨いで掛け渡されています。なお、毎年正月11日行われる綱掛神事は、明日香村稲渕と栢森(かやノもり)両大字に伝わる神事で「カンジョ掛神事」とも呼ばれて、子孫繁栄と五穀豊穣を祈るとともに、悪疫などが県道と飛鳥川を通って侵入するのを押し止め、地区の住民を守護するための神事と云われていますが、同じ神事でも両大字では、その形式が異なり、稲渕大字の神事の特徴は、全体を神式で行い、川の上に陽物を形どった「男綱」を掛けて、「神所橋」上に祭壇を設け、神職が御祓いをします。
 「案山子ロード」の案山子

 なお、県道15号桜井明日香吉野線の「勧請橋」の下から西へ上がって行く道が「案山子ロード」で、周りに棚田オーナーの「田んぼ」や「はたけ」があり、毎年9月上旬〜11月下旬まで50基以上の案山子が数m間隔で立ち並び、登り詰めた所が、高松塚古墳の方へ向う「朝風峠」です。東方に飛鳥時代の聖なる山の1つ「南淵山」と、眼下に飛鳥川の清流を望む景勝の地で、奈良時代の平城京「長屋王家」跡から出土した木簡に「旦風」「竹野王子」「竹野王子山寺」と記したものがあり、「旦風」は「あさかぜ」と読み、今の明日香村稲淵の「龍福寺」境内にある「竹野王層塔」銘文の「朝風」にあたると考えられています。
 飛鳥川の「飛び石」

 飛鳥川の「勧請橋」を渡らずに左(東)側の旧道を南へ辿ると、稲渕の集落へ入って、道の脇に「飛び石→」の表示がありますが、真横に行かずに、ちょっとバックするように右へ折れて、田圃の畦道を通ると、「飛鳥川」に至って、側に万葉歌碑が建っています。

 明日香川 明日も渡らむ 石橋の
 遠き心は 思ほえぬかも 巻11−2701

古代においては、飛鳥川に橋はなく、また、板橋を掛けても、昔は今と違い鉄砲水が多く、氾濫を繰り返し流されるので、飛び石が橋の役目を果していました。



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