句碑の郷「東吉野村」  その8

 「高見川」の「夢淵(ゆめぶち)」

 「高見川」に「日裏川」が合流し、直ぐまた東から「四郷川」が「蟻通し渓谷」から「高見川」へ合流している所が「夢淵」です。この付近一帯は、東吉野でも特に風光明媚(ふうこうめいび)な地で、古来より多くの歌に詠まれていますが、ここを「夢淵」と名付られた由来は、神武天皇が東征の時に、天神の夢の訓(おしえ)があり、「丹生(にう)川上の紺碧(こんぺき)の深い淵(ふち)に厳瓮(いつべ)を沈めて、天神地祇(てんじんちぎ)を敬祭せよ」と云われて、その様にしたら、神武天皇は、大和平定を完遂して、畝傍山の麓「橿原宮」で即位しました。そこで、大和平定を感謝し、誠を捧げてこの地名が生まれました。
 旧官幣大社、丹生川上神社摂社「丹生神社」

 赤い吊り橋の「夢橋」から「高見川」沿いに又南へ行くと直ぐ、「高見川」に「四郷川」が合流し、バス道路との三叉路に出て、右へ曲がり西へ行くと「丹生(にゅう)川上神社中社」ですが、左へ曲がって橋を渡った所に「丹生川上神社中社」の摂社「丹生神社」が鎮座し、バス道路を夾んで向かい側には「神武天皇聖跡丹生川上顕彰碑」が建っています。なお、「丹生川上神社」は三社あり、川上村の「上社」、東吉野村の「中社」、下市町の「下社」で、また「丹生神社」と言われる神社も奈良県だけでも奈良市、榛原町、菟田野町、西吉野村にあり、和歌山県にも和歌山市、粉河町、美里町、川辺町、龍神村等に鎮座しています。
 丹生川上神社中社の「ツルマンリョウ」1粒

 「丹生神社」から又バス道路を西へ戻ると、朱色の欄干の橋を渡って直ぐ観光案内所があり、公衆トイレの横に「ツルマンリョウ自生地」の説明板があって、「丹生川上神社中社」の本殿裏山は、小牟漏岳(おむろだけ、標高686m)で、その南及び西斜面の暖地性常緑樹林の林床内約千平方米は、天然記念物「ツルマンリョウ自生地」です。なお「ツルマンリョウ」はヤブコウジ科に属し、匐枝(ふくし)が地下を浅く、又は地上をはって分岐し、そこから地上茎が頂生して毎年7月中旬黄白色の花が咲き、翌年秋球状形の赤い果実が紅熟します。この辺りは、「ツルマンリョウ」の自生地として稀有で、その北限に当たっています。




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