句碑の郷「東吉野村」  その9

 水神崇社「丹生(にう)川上神社中社」

 「東吉野村観光案内所」から更に「高見川」沿いに西へ行くと直ぐ、日本最古の水神で水神総本社「丹生川上神社中社」が鎮座しています。創建は古くて判りませんが、神武天皇の頃に神籬(ひもろぎ)式の神として祀られ、最初は武運守護の神でしたが、675年(天武天皇白鳳4年)初めて社殿が建てられて、それ以後は、天下に良き雨を降らせ、また大雨を止める水神として祀られ、ご祭神は、罔象女神(みずはノめノかみ)で、雨師の明神・水神崇社として上下の人々の尊崇殊の外篤く、白鳳〜奈良時代にかけて歴代天皇の行幸50数回、祈雨止雨の奉幣祈願90数回に及び、現在は、電力、水道関係から篤く信仰されています。
 「丹生川上神社」境内の「叶(かなえ)の大杉」

 「丹生川上神社中社」本殿は、三間に二間の流造、檜皮葺で、柱、壁、扉に極彩色の豪華な模様があり、蟇股(かえるまた)等の彫刻も見事で、1820年代(文政年間)に建てられ、本殿内に丹生本殿下遷宮と上遷宮の事を記した慶安三年(1650年)の棟札があります。なお、境内に建っている国重文「石灯籠」一基には、弘長四年(1264年)の刻銘があって、宋国人の名工、伊行吉の作と云われています。また、境内の一画に「叶の大杉(千年杉)」が注連縄をされて植わっていますが、この大杉の幹に両手を当てて、心願、口唱されたら御神威が授かるそうです。なお、境内には、まだ他にも同様の大杉が植わっています。
 「丹生川上神社」境内の「丹生の真名井」

 水神崇社「丹生川上神社中社」の拝殿に向かって、右へ行った高台の下に「丹生の真名井(まない)」があります。この井戸の水は、水神様・罔象女神(みずはノめノかみ)の神霊がまします御神水で、今もこんこんと湧き出す生命(いのち)の水に、参拝者の方が身体の清浄と健康、倖せを祈って汲んで行かれます。なお、祭神、罔象女神の神像は、十二単衣(じゅうにひとえ)風の衣裳を着けた木造彩色の坐像で、平安時代の初期に造られ、本殿に祀られていますが、当社は元々は「蟻通(ありとうし)神社」「雨師(あめし)明神」と呼ばれ、水神、農耕の守護神として崇敬されて、小川郷7ケ村の産土神(うぶすながみ)でした。




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