斑鳩  (その2)
 斑鳩大塚(いかるがおおつか)古墳

 「伊弉冊命神社」の直ぐ北、畑の中にこんもりと、「斑鳩大塚古墳」があります。現在は、墳丘の南側の麓に大きなお地蔵さんが立ち、墳丘の頂上に殉國碑が建立されていますが、昭和54墳丘の整備時に古墳であることが確認され、墳丘の半分は破壊されていますが、元は高さ4m、直径35mの円墳だった様で、墳丘地下に全長約7.5m、幅1.5mの粘土槨(ねんどかく)があり、内部から幅60cmの割竹型木棺、銘のある二神二獣銅鏡、甲冑類、鉄製刀剣、筒型銅器、石釧、管玉等が出土し、墳丘上に葺石、埴輪があり、築造年代は、出土遺物から4世紀末〜5世紀前半と推定され、古墳時代中期で、斑鳩では最古の古墳です。
 「日切地蔵」と「業平姿見の井戸」

 「斑鳩大塚古墳」の北が斑鳩小学校で、国道25号線へ出ると、バス停「斑鳩町役場前」です。国道の南側に斑鳩三地蔵の1つ「日切地蔵(継子地蔵)」が安置され、昔「立田村」の意地汚い継母が継子に10日も飯を与えず、「地蔵が飯を食べたらお前にもやる」と云ったら、不思議や地蔵さんが飯を食べ、それから継母も改心しました。なお、奥に「五百井戸(いおいど)」があり、昔在原業平が天理から河内の姫を訪ねると、姫が御櫃の飯を杓文字で掬い、そのまま口に入れていたので、百年の恋も冷め、業平が逃げ帰ると、気づいた姫が追って来て、木に登っていた業平の姿が井戸の水面に映り、水鏡を見た姫が飛び込みました。
 法隆寺i(あい)センター(TEL 0745-74-6800)

 バス停「斑鳩町役場前」から国道25号線を東へ行くと、次のバス停が「法隆寺前」で、「法隆寺」参道入口に「法隆寺iセンター」があります。大和平野の景観と調和した美しい建物で、訪れる人々に「歴史街道情報」を提供すると共に、豊かな歴史、文化に触れ合い、交流できる拠点として、また、休憩等の利便を提供する施設として建てられ、世界文化遺産法隆寺を始めとする斑鳩の里を「立体マップ」で案内し、更に法隆寺西院と法起寺の伽藍を模型で再現し、法隆寺の昭和大修理や薬師寺の三重西塔を建立した宮大工棟梁「西岡常一の世界」等も紹介しています。開館は8:30〜18:00まで、年中無休で、入館無料です。
 ウォーナー塔

 「法隆寺の西大門」を出て直ぐ、土塀に沿って北へ上がって行くと、左の奥に「ウォーナー塔」が建っています。ラングドン・ウォーナー博士は、1881年米国に生まれ、1903年ハーバード大学を卒業後、来日して岡倉天心の知遇を得、東洋美術に深い関心を抱き、特に京都、奈良の古代彫刻(仏像)を愛され、帰国して母校ハーバード大学付属フォッグ美術館東洋部長の傍ら母校で東洋美術史を教えていた第2次世界大戦中、京都、奈良の仏像を戦禍から救うため献身的努力をされ、1955年75歳で亡くなられました。博士の遺徳を偲ぶ顕彰碑が、「ウォーナー塔」です。
 国の指定史跡「藤ノ木古墳

 「法隆寺の西大門」まで戻り、西へ約400mほど行くと、道が交叉した所の左手前方(西南)に小高い丘が見え、そこが「藤ノ木古墳」です。直径48m、高さ9mの円墳で、内部には両袖式の横穴式石室を持ち、凝灰岩の刳抜(くりぬ)き式家形石棺に被葬者が二人安置され、共に豊かな副葬品として金銅製の冠と履(くつ)に脛当までも付け、なお、石室から鎧や鉄鏃(てつぞく)等の武具や、金銅装の馬具、須恵器等の土器類が出土し、中でも装飾性豊かな馬具類は中近東で発達した七宝焼きの技法が見られ、鞍金具にパルメット、鳳凰、象、鬼面、虎などの浮き彫りを施し、固定材は地中海沿岸でしか取れないコルクでした。

 龍田神社(TEL 0745-75-3163)

 「藤の木古墳」から南へ行き、国道25号線バス停「斑鳩町役場前」へ出たら、国道の1つ北側の旧道に入って西へ500m行くと、「龍田神社」が鎮座しています。第10代崇神天皇の御代、穀の凶作が続き、天皇自らト占をもつて占い、天神地祗を龍田山の聖地に祀ったのが始めで、後に聖徳太子が法隆寺建立の地を探していた時、推坂山で翁に姿を変え、建立の地を指示されたのが龍田大明神で、法隆寺の守護神、鬼門除神に成ったけど、龍田大社の本宮は少し遠いので、新宮として法隆寺建立と同時に御廟山(錦ケ丘)南麓に移し祀られたのが当社で、祭神は、雨風を鎮め水難疫病を防ぐ「天御柱命」「国御柱命」の二荒魂です。
 「龍田神社」境内の紅葉

 「龍田神社」の境内には写真の様にみごとな紅葉が1本有りますが、数では「竜田川緑地」の紅葉に敵いません。なお、境内に写真で枝がちらりと見えている巨樹も在りますが、他にまた、能楽シテ方(主人公)の一流で、大和猿楽四座の1つ、坂戸座を源流とする 「金剛流発祥之地」の石碑が建つ横に、奈良県の天然記念物「蘇鉄の巨樹」が植わっています。平安時代の初期に植えられ、樹齢1200年、根周り5.7m、 最大樹幹2.7m、高さ6.3mも有ります。株の基部及び樹の幹から8本の分枝幹が出て、雄花は長さ50 cm、直径が10cmの円柱状、くさび形の鱗片が螺旋状に付き、その下に多くの葯(やく)を付けます。
注:藤ノ木古墳の写真の上にマウスを乗せると、古墳から出土した鞍金具の写真が現れます。
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