「笠置山」  その7

 「笠置寺」の「大師堂」

 後醍醐天皇が、ここ「笠置山」で詠まれた御歌が、

 うかりける 身を秋風にさそわれて
          おもわぬ山の紅葉をぞ見る

で、その歌碑が建つ「後醍醐天皇行在所跡」を下りて「もみじ公園」をまた右下に見ながら左へ曲がると、弘法大師の空海を祀った「大師堂」が建っています。そして、東へ進み石段を下りると、元の「笠坊之墓」の所で、「笠置山」は、小さな山だが、多くの歴史とロマンを秘めた素敵な散策コースでもあり、これにて史跡にふれながら巨石奇石の行場巡りが完了します。
 「笠置寺」の「毘沙門堂」

 「笠置山」入山口を出て、右(西)の「解脱鐘」の方へ曲がらず、真っ直ぐ進み、坂を上がってから右へ曲がると、「毘沙門堂」が建っています。建物は江戸時代中期のもので、元「笠置寺」の一子院「多聞院」の本堂でした。堂内に本尊「毘沙門天」が安置されています。寺伝によると、楠正成の念持仏と伝えられ、像高50cmの優れた木像で、鎌倉時代のものと推定されています。しかし、笠置山全山が焼けたと伝える「元弘の変」の戦火からどの様に守られたかは不明。なお、楠正成は、笠置の城(後醍醐天皇行在所)が落城する前、後醍醐天皇に拝謁し、その時の場面を再現したものが、麓の「笠置産業振興会館」にあります。
 後醍醐天皇の「行宮遺址(あんぐういせき)」

 「笠置寺」の山門を出て山を下り、「一の木戸跡」から旧道の「史の道コース」を辿らないで、車の通る「新登山道」を下ると、途中で「木津川」の方へ下りて行く脇道があり、その道を下りると「行宮遺址」と崖の巨石に彫られています。1331年(元弘元年)8月27日〜9月29日まで約1月、第96代後醍醐天皇の仮皇宮が「笠置山」の山頂に置かれたのを記念して、明治22年に有志の方々によって、崖の自然石(高さ約7.6m、幅6m)に刻まれました。なお、それぞれの1字は、136cm四方もあり、麓を流れる一級河川「木津川」の対岸沿いに走る国道163号線からでも楽々と読める大きな字で彫られています。




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