漆部(ぬるべ)の郷「曽爾村」  その6

 延喜式内社「門僕(かどふさ)神社」

 「屏風岩公苑」から北へ行き、「若宮峠」を通り、いずれも標高1000m級の「住塚山」「国見山」を越えて「屏風岩探勝路」を辿ると、「東海自然歩道」の「クマワタ」へ至りますが、東へ下ると県道81号名張曽爾線へ出て、「上曽爾小学校前」から、また、「青蓮寺川」に沿って北へ向かうとバス停「曽爾役場前」の先に「門僕神社」が鎮座しています。祭神は、天児屋根命、武甕槌命、経津主命、比賣大神玉祖命の春日4神と、天手力男命、天宇受賣命で、中世には、「春日神社」と呼ばれ、第61代醍醐天皇の時代に記された「延喜式」神名帳に大和国宇陀郡十七座の内、第三番目に見える「門僕神社」に比定されています。
 「門僕神社」の県天然「御葉付イチョウ」

 「門僕神社」では、毎年10月10日の秋祭りに、全国でも珍しい肩の上に獅子が乗った「接ぎ獅子」を始めとする県無形民俗文化財の「曽爾の獅子舞」と、人身御供の名残と云われている「すこ」という神餞が見られます。なお、「すこ」とは、餅と柿をサトイモの茎に交互に刺して、その頂上にケイトウの花を飾ったもので、乙女の姿を形取ったものとされています。また、「門僕神社」の鳥居の前に県指定の天然記念物「御葉付イチョウ」が植わっています。イチョウは、種子植物で、葉の下に種子を付けるが、シダ類の様に稀に葉の上に種子を付けるものを「御葉付イチョウ」と呼び、植物進化を知る上で学術上貴重な資料です。
 古光山(こごやま)、別名「ぬるべ山」

 「室生赤目青山国定公園」に属して、奈良県と三重県の県境に横たわる「曽爾高原」付近一帯と、青蓮寺川(曽爾川)を夾んで西側に聳える「鎧岳」「兜岳」「屏風岩」の辺りは、関西でも古くからハイキングのメッカです。「曽爾村」では、6つのモデルコースを用意されていますが、その内の1つに「ぬるべ山巡りコース」があり、バス停「曽爾高原」から南へ「長尾峠」「後古光山(うしろこごやま、標高892m)」「フカワタ」「古光山(こごやま、標高953m)」を尾根伝いに岩稜を雑木の根や幹を掴んで巡るコースです。なお、「古光山」は、別名「ヌルベ山」とも呼び、「石英岩」から成り、天狗伝説も残っています。




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