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旧村社「糸井(いとい)神社」
「比売久波神社」から「島の山古墳」西の濠沿いにまた南へ戻り、濠の南西角から東へ行って「寺川」の「宮前橋」を渡ると「糸井神社」が鎮座しています。約千年前の「延喜式」神名帳に城下(しきげ)郡「糸井(神)社」と記されている由緒ある古社で、祭神は神社名称の通り、糸に関係のある綾羽・呉羽が主神です。境内に本殿、拝殿、宝庫などがあり、更に4つの境内社をもつ大規模な神社で、本殿は、春日大社の古殿を移築し、室町時代の春日曼陀羅を蔵しています。秋祭りは、毎年10月第4土曜日が宵宮、翌日曜日が本祭で、両日に渡って行われ、氏子が輪番で務める当家(頭屋)の行事で、「当家相撲」等が行われます。 |
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「糸井神社」の拝殿内にかかる「絵馬」
なお、「糸井神社」の「拝殿」内には、天保十三年(1842年)と墨書銘のある絵馬がかかっており、画面には、百人余りの人が隊列を組んで太鼓踊りをしている時の様子が生き生きと描かれ、その熱気が今に伝わってきます。また、画面の右下に、社頭で踊りを見物する武士の背後の片隅に、西瓜を屋台で切り売りする人が描かれ、大和平野における西瓜栽培の歴史をうかがい知ることができます。こうした踊りは「いさみ踊り」「なもで(願望の意)踊り」と呼ばれ、雨乞や願い事がかなった時に踊られ、他にも、氏子の結崎郷市場村踊連中奉納で、慶応四年(1868年)の絵馬では、御蔭踊を描き、県指定有形民俗文化財です。 |
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「都留伎(つるぎ)神社」
「糸井神社」から東へ行って、結崎の集落へ入ると融通念仏宗延命山「地蔵寺」があって、その直ぐ東に「都留伎神社」が鎮座しています。川西町結崎中村の「垣内の宮」と云われ、小さいながらも本殿は、春日造、風格のある建物です。祭神は、都留伎比古命(つるぎひこノみこと)。なお、社殿の鉄册の前に建つ石灯籠に「鶴木」の文字が見られますが、この「ツル」と云うのは人の名で、中村垣内の領内に「長田池」を掘り、その功績により神として祀られているそうで、また、隣村の承諾なしで寺川堤に用水の桶を伏せて、捕らわれ、中村垣内のために犠牲になったのを悼み、「ツルギ」さんの屋敷跡に神社を建てて祀ったとか。 |