日本一広い村「十津川」  その4

 「三里山の水」

 「国王神社」からまた十津川(新宮川)沿いに南下すると、バス停「野広瀬」の近くに「三里山の水」が湧き出しています。日本でも最も雨の多い地方の1つとして知られている奈良県南部に位置する十津川村は山歩きをすると必ずと言っていいいほど湧き水を見つけることが出来ます。水に恵まれた十津川ならではの自然の贈り物で、「自然の山水に接してもらいたい」という思いから、幹線道路沿いに水量の多い湧き水を汲みやすく整備して、十津川の村内で4カ所ほどある内の1つです。ここは、また街道沿いのオアシスで、何時も誰かが大きなポリ容器を車に積んで水を汲みに来ています。なお、飲む時は必ず沸騰させて下さい。
 「風屋(かぜや)ダム」

 安産の神「白龍」の伝説がある野広瀬(のびろせ)の「三里山の水」からまた「風屋貯水池」沿いに南下すると、バス停「風屋」の辺りから「風屋ダム」が前方に見えて来ます。昭和35年10月十津川の上流に建設されたコンクリート重力式ダム、高さ101m、頂長329m、貯水容量は、東京ドーム105杯分の1憶3千万トンです。なお、洪水の時に発生する濁水対策のため、取水口に表面取水設備を設置して、内径約5.2mの導水路が8654m延びて「十津川第一発電所」に毎秒ドラム缶で300本分、毎秒60立方メートルの水を送り、ダムと発電所の落差144mにより最大75000キロワットの電気を発電します。
 日本の滝百選の1つ「笹(ささ)の滝」

 「風屋ダム」からまた国道168号線を新宮の方へ行って、バス停「滝川口」から左へ向かい、「滝川」沿いの道を東へ約12キロ上がって行くと、渓谷美が豊かな「滝川」の上流に「笹の滝」があります。落差約32m、しぶきを上げて流れ落ちる滝そのものの姿もさることながら、滝壷より溢れ出て岩肌を洗う流れも又、一見の価値があり、幕末に天誅組の参謀、記録方の伴林光平が、風屋から滝川を遡り、花瀬を通り、嫁越峠を越えて北山郷白川へ出る時、次ぎの歌を詠み

 世にしらぬ あわれをこめて しぐるらん
 小笹の瀧の 在明の月   「小笹瀧」伴林光平

  なお、天誅組はその後、東吉野村鷲家口にて壊滅し、光平は逃れて河内の国境「岩船山」付近で捕らえられ1864年(元治元年)京都六角獄の露と消え、享年52歳。獄中で「南山踏雲録」を著し、90首の歌があり、その中の1首の歌碑が滝入口に建っています。




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