山背(やましろ)古道  その5

 木津川市木津の「御霊神社」

 「安福寺」の直ぐ東隣が「御霊(ごりょう)神社」です。祭神は藤原広嗣で、毎年10月木津川市木津の「秋祭り」は「布団太鼓台(ふとんだいこだい)」と呼ばれる神輿が各町内を出発し、それぞれ氏神様の神社へと向うが、「御霊神社」へは10月20日、また「岡田国神社」へは10月21日に神輿が入ります。なお、「布団太鼓台」は、祭日以外でも、国道24号線の大谷交差点を西に折れて、1つ目の信号を北に折れた200m先にある木津川市中央交流会館「いずみホール(TEL 0774-72-8800)」のロビーで見ることができます。但し、月曜日(なお、祝日の場合は翌日)が休館で、また、府立山城郷土資料館にもあります。
 上津(こうず)遺跡

 「御霊神社」の西側を通って、細い道を北へ入ると「木津川」の土手に突き当たりますが、そのちょっと手前、右(東)に入った住宅地の一画に「上津遺跡」があります。「木津川」の水運に関係した奈良時代の官衙(かんが)です。「木津川」が下流で「桂川」と「宇治川」に合流し、「淀川」となって大阪湾に注ぐ水運を利用して、各地から物資を奈良に運ぶために設けられた施設の跡で、昔は、木津川(泉川)の南岸を泉津(いずみつ)と呼んで港が開かれ、平城宮や南都諸寺の出先機関「木屋所」が設置され、昭和51年の発掘調査では、160m以上も東西に延びる溝、更に並列する册、建物の跡などの遺物が出土しています。
 国道24号線、木津川の「泉大橋」

 また、「上津遺跡」から南の車道に出て西へ行き、「安福寺」の前を通って国道24号線に上がり、北へ行くと、「木津川」の「泉大橋」です。この辺りは、三川(桂川、宇治川、木津川)の合流地点まで約25キロ、大阪湾まで61キロの地点で、昔の「泉大橋」の橋脚が今よりも少し下流に残っていますが、右大臣藤原道綱の母が書いた「蜻蛉日記」では、初瀬詣での途中、橋の袂の橋寺(泉橋寺)で泊まった事が載っており、また、中納言兼輔が小倉百人一首で詠んだ歌は

 みかの原 わきて流るる泉河
 いつ見きとてか 恋しかるらむ 百人一首27




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