飛鳥  その3−5
 栢森(かやノもり)の勧請縄(女綱)

 また、「飛鳥川上坐宇須多岐比賣命神社」から下りて、更に県道15号線を南へ辿ると、「飛鳥川」に又「勧請縄」が掛け渡されています。明日香村栢森の勧請縄(女綱)で、ここでも毎年正月11日綱賭神事が行われますが、先の稲渕(いなぶち)の綱賭神事が神式であったのに対して、こちら栢森の綱賭神事は仏式で行われ、福石(陰物とも云う)の上に祭壇を設け、僧侶の法要の後で、「飛鳥川」の上に陰物を形どった「女綱」を掛け渡します。なお、「女綱」の掛かっている所の上流を渡り、西側の山へ分け入って行くと、「猿石」を経て「高取城址」、「壷阪寺」、「壷阪山駅」、そして、「壷阪峠」から「大淀町」へ至ります。
 旧村社「加夜奈留美命神社」

 「飛鳥川」に沿って更に南へ辿ると、栢森の集落で左に曲がって、入谷地区へ向う道を入って直ぐの所に「加夜奈留美命(かやなるみノみこと)神社」が鎮座しています。祭神は、加夜奈留美命、飛鳥の神奈備に坐し、皇孫の守護をした神で、「五郡神社記」等では「高照姫(たかてるひめノ)命」の事としています。なお、飛鳥神奈備は、829年(天長6年)「鳥形山(とりがたやま、明日香村飛鳥)」へ移されたけど、その後も加夜奈留美神の本霊が旧地に留まったと考えられ、859年(天安3年)正四位下を賜りました。また、西隣が浄土宗・寿亀山「竜福寺」で、その前を流れているのが「飛鳥川」の支流、「稲渕川」です。
 稲渕川の上流にある「ごろ滝」

 「加夜奈留美命神社」から更に東へ行って、突き当たりの三叉路を右へ曲がってちょっと南へ行き、また三叉路に突き当たって、左(東)へ行くと「入谷」へ向かいますが、右(西)へ行くと、また元の県道15号線に出て、左へ曲がり、くねくねと登って行くと、「芋ヶ峠」を通って、「吉野町」へ至ります。ここはその昔、671年(天智天皇10年)10月20日に大海人皇子が武器も持たずに僧形(そうぎょう)で、兄の天智天皇のいた近江朝から吉野へ逃げて来た時に通った道かも知れず、また、持統天皇が夫亡き後、藤原京から吉野へ何度も通った道かも知れず、栢森から高取町へ入った所に「ごろ滝」落差6mがあります。



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