生駒山周辺と信貴山まで  その10

 揺(ゆるぎ)地蔵尊

 「千光寺の表門」を下りて、参道の脇に建つ小さな「総門」を過ぎると、約100m程で三叉路に至り、その角に平群町指定文化財で、高さ約2m、笠石仏、高肉彫の「ゆるぎ地蔵」が、吹きさらしのお堂の中に立っておられます。信仰厚い地蔵様で、お祈りすれば病気の苦痛が一度にユルキ平癒するので「揺地蔵」と云われ、「弘安四年(1281年)辛巳五月日 願主快尊」の銘があり、造立年代の明らかな鎌倉期の秀作です。なお、向かって右に「十三仏板碑」がありますが、こちらは室町時代、天文二十年(1551年)の銘があります。また、お堂の裏にある「五輪塔」は、無銘ですが鎌倉末期(南北朝時代)と推定されます。
 史蹟「清滝石仏群」

 「揺地蔵尊」横脇の車道を通って山を下りても近鉄元山上口駅へ至るけど、お地蔵さんの前を通って鳴川から檪原(いちはら)川の渓谷に沿って車の通らない鳴川道から元山上口駅へ至る道は、「揺地蔵尊」から約100m下った瀧見橋の手前が「清滝石仏群」で、付近は鎌倉石仏の宝庫です。その内、鎌倉時代の作で薄肉彫「清滝地蔵」は、俗に「八尺地蔵」と称され、先に説明した大蛇が、役行者によって打たれ変身したお地蔵さんで、対岸の崖の縁にあるのは横長の額縁に収まった様な「五智如来」、そして辺りには、「貝吹地蔵」「法螺地蔵」「はらみ地蔵」等ユニークな名の石仏が並んで、清流と紅葉に彩られる秋は最高です。
 延喜式内「生駒山口神社」

 「清滝石仏群」から鳴川沿いに山道を下ると、途中には頭上はるか上にコンクリートの大橋が架かって、更に下ると二本杉の根っ子に小さな石仏が数体あり、「清滝石仏群」から約1.7キロで檪原川の神前橋に至り、橋の手前に「首なし地蔵」が立っていて、橋を渡ると「生駒山口神社(古くは大社)」です。昔は、毎年11月23日の新嘗祭に勅使が参向されて、朝廷より幣を献進されるを例とし、古書には「伊古痲山口神社」と記され、県下式内社神社の1つで別名として「瀧の宮」とも呼ばれていました。御祭神は、出雲の斐伊川上流で八岐大蛇(やまたノおろち)を退治した素戔鳴命と櫛稲田姫命で、大祭は毎年10月10日。




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