磐余(いわれ)の道と多武峯街道  その9

 談山神社(TEL 0744-49-0001)

 また、元の参道に戻り、坂道を上がると右に石燈籠が建ち並び、後醍醐天皇寄進の国重文「石燈籠」には竿に鎌倉時代の「元徳三年(1331年)」の刻銘があり、雄大かつ装飾性豊かな造りの燈籠で名品です。なお、元徳三年(1331年)は8月9日改元され、元弘元年になって南北朝の動乱が始まっていますが、石燈籠は、第96代後醍醐天皇がその直前に寄進されたものです。更に進むと参道の右側に朱色の談山神社「二ノ鳥居」が建っています。ここから境内に入ると入山料500円、9:00〜16:30まで入山可。なお「談山神社」の社名は、中臣鎌足中大兄皇子が談合した「談(かたら)い山」から取られています。
 談山神社の国重文「本殿」

 「二ノ鳥居」を入り、石段を上り切った右にいずれも国重文で、朱塗の柱に檜皮葺の屋根をもつ江戸時代の「楼門」が建ち、1520年(永正17年)造営・朱塗舞台造の「拝殿(旧寺の護国院)」は高欄を巡らし、軒端に銅製釣灯籠を並べ、内部中央の天井に伽羅(きゃら)の香木を使い、殿内に縁起絵巻、刀剣等の寺宝を展示し、拝殿の正面(北)に建つ「本殿(旧寺の聖霊殿)」は三間社・隅木入りの春日造で、朱塗りの上に極彩色の装飾を施し、内部に鎌足像を安置しています。また、本殿の左右は折れ曲がった特異な形態の造で「東西透廊(すきろう)」が本殿を囲み、談山神社は日光の手本で、関西の日光と呼ばれています。
 談山神社の摂社、国重文「東殿」

 談山神社の本社社殿(楼門、拝殿、本殿)の東西の両脇には、それぞれが国重文の校倉(あぜくら)造の東西「宝庫」が建ち、いずれも江戸時代の建物です。更に東宝庫の直ぐ下に談山神社摂社で国重文の「東殿(旧寺の妙法堂)」が建っています。元は鎌足の長子定慧(じょうえ)和尚を供養する本願堂で、若宮とも称していましたが、今は鎌足の夫人鏡女王(かがみノおおきみ)、定慧和尚、鎌足の二男不比等らを祭っています。また「東殿」は、1619年(元和元年)に造り替えられた談山神社の「本殿」を江戸時代の始め1668年(寛文8年)に移築したものです。なお、談山神社では紅葉が有名ですが、紫陽花もあります。




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