山の辺の道  その11

 「出雲建雄神社」の国宝「拝殿」

 「石上神宮」の摂社「出雲建雄神社」の真ん前、鉄柵で囲まれた中に古めかしい「拝殿」が建っていますが、これは「石上神宮」から南へ約700mの所に昔在った内山永久寺の鎮守「住吉社」の拝殿を移築した物で、鎌倉時代の建立と考えられ、中央一間を通路にして割拝殿とし、通路の上は唐破風になっています。なお、「内山永久寺」は明治初年の神仏分離、廃仏毀釈(はいぶつきしゃく)で取り払われました。また、「石上神宮」の境内に柿本人麻呂の万葉歌碑があり、

 をとめらが袖布留山の瑞垣(みずがき)の
 久しき時ゆ思ひき吾は  巻4−501
 神のお使い石上神宮の「鶏」

 石上神宮の境内では、写真の様に矮鶏(ちゃぼ)や鶏が歩いてますが、彼らは神のお使いで、鏡池の所の鶏舎に天然記念物の東天紅(とうてんこう)も飼われています。また、鏡池に天然記念物の馬魚(ばぎょ、ワタカ)がいます。これは内山永久寺跡の本堂池から引っ越して来た魚で、後醍醐天皇の御乗馬の斬られた首の子孫です。1336年(延元元年)12月23日第96代後醍醐天皇が京都を脱出し吉野へ逃れる時、内山永久寺に一時立ち寄りましたが、天皇の御乗馬が後を追って来た敵方の馬に応じて嘶(いなな)くと、所在がばれるのを恐れ、馬の首を切り落としたら、その首が転がって本堂池に落ち、「馬魚」になりました。
 拝観できない天理の「合掌造り」

 「石上神宮」鏡池の縁を通って南へ歩くと直ぐに、掲示板「ナショナルトラスト(奈良県発祥の地)」が建っていて、奈良県ナショナルトラスト実行委員会が絶滅寸前の野生生物(日本バラタナゴ、沢蟹、森アオガエル、サギ草、スズラン、トキソウ、ホタル、ギフチョウ、オオムラサキ、ハッチョウトンボ)をここら辺りで人工増殖しておられます。よって、そこから東200mは、昆虫、植物、淡水魚、貝類の採取立入が厳禁です。そこからまた、南へ進んで、左にちらっと天理トンネルを見て国道25を渡ると直ぐ「内山永久寺跡」ですけど、国道25号を下って大きくカーブした辺りから、写真の様な「合掌造り」が2棟見えます。




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