割箸と三宝の「下市町」  その1

 下市町の「千石橋」と「桧の渡し」

 奈良県吉野郡の「天川村」へ行くには、近鉄吉野線「下市口駅」から南へ行って、吉野川の清流に架かる「千石橋」を渡ります。昔は「桧の渡し」と呼ばれる渡船場が、上流約100mの所にあり、吉野郡最大の商都、下市から吉野の奥地へ、また、奥地から下市へ一日千石の荷を運んでいたので、江戸中期頃に小さな木橋が架けられ「千石橋」と名付られました。でも、度重なる洪水で流され、その度毎に関係隣村に費用を割付け徴集、架設し、橋の長久と往来安全を祈って、直ぐ東側の西来寺(せいらいじ)境内に一石一字法華塔が建てられました。また、明治25年初めて堅牢な鉄橋が竣工し、今の橋は、昭和38年7月竣工です。
 吉野川の川底からの湧水

 奈良県吉野郡大淀町の下市口から「千石橋」を渡り吉野川に沿って、県道39号五條吉野線を吉野の方へ向かうと、背の低い「桧(ひのき)の渡跡」の石碑が川の縁のガードレールの途切れた所に建っています。そこから更に東へ進むと、写真の様に屋根をして吹き放しの中に湧水が出ています。この湧水は、ほとんど空気に触れることなく湧き出し、水質基準に適合した弱アルカリ飲料水で、朝の6時〜夜の10時まで給水しています。容器をよくすすいで、出来るだけ空気を混ぜ込まないように汲み、冷暗所に保管すると、水が長持ちします。長期保存の場合は、加熱が必要です。何かお気付きの点は、TEL 0747-52-4070まで電話を。
 県史跡「岡峯(おかみね)古墳」

 吉野川の「湧水」が出ている所から更に東へ向い、左に小さな郵便局を見たら、次の右へ入る道を登ると丘の上の住宅地の中に「岡峯古墳」があります。標高約160mの河成段丘の北端に位置する円墳は、直径約15m、高さ4.5m、石室がほぼ西に向かって開口する横穴式で、天井を緑泥片岩の巨石で覆った羨道と、前道、玄室からなり、玄室は長さ3m、幅2m、高さ約2.2mあり、古墳時代の後期に築造され、特に玄室に石棚を有している点が紀ノ川下流の岩橋千塚や平群の三里古墳と同じ形式で、珍しく、古墳内から日本最古の唐草文様を環頭部に象嵌した素環頭柄黒漆太刀、金環、ガラス玉、須恵器などが出土しました。




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