人麻呂生誕地「葛城市新庄」  その7

 葛木坐火雷神社(TEL 0745-62-5024)

 「極楽寺」から更に南へ進み、左脇に石仏を見て、小川を渡り、又南へ辿ると新庄町笛吹(ふえふき)の集落で、樹木で覆われた山懐に「葛木坐火雷(かつらぎにいますほノいかずち)神社」が鎮座しています。延喜式の神名帳で、忍海郡「葛木坐雷神社二座」に比定され、一般に「笛吹神社(ふえふきじんじゃ)」と称し、古代には笛吹を職とする笛吹連一族の氏神で、一族の祖神である火雷大神(ほノいかづちおおかみ)と、天香山彦命(あめノかぐやまひこノみこと)を祀り、天香山彦命は、天照大神が天岩戸に籠った時、天香久山の天波々迦木、または竹を切り取り笛を作って吹鳴らし、また金を掘って八咫鏡を鋳造した神です。
 笛吹神社の露國製「加農攻守城砲」

 なお、「葛木火雷神社」の本殿の斜め後方に県指定史跡で、横穴式の「笛吹神社古墳」があります。直径26m、石室の全長11.1m、玄室の長さ6mで、内部に古式の家形石棺が安置され、この付近で最大の横穴式石室です。また、これに続く丘陵にも75基の古墳があって「笛吹古墳群」と称し、更に西の山口の集落の外れにも約35基の小古墳があって「山口千塚古墳」と呼ばれています。なお、拝殿下の境内には、明治37〜8年に行われた日露戦争の勝利品として、明治42年6月政府から当神社に奉献された露国製の「加農攻守城砲」が置かれ、その車輪は、昭和51年天皇陛下ご在位50年を祈念して修復されています。

 県天然「笛吹神社のイチイガシ林」

 また、「笛吹神社」の境内には「イチイガシ」の巨樹が植わっていますが、元々奈良盆地周辺の極相が、イチイガシ林で、こうした地域は人々の生活領域でもあり、奈良県では古くから開けた所でした。そうした中で「笛吹神社」の社そうは、海抜170m前後の扇状地に残され、「イチイガシ」の巨樹は、写真の様に鳥居の側と、社の南側にあり、その中でも社殿に向かって右側の「イチイガシ」が、境内では最も大きく、崖縁にもかかわらず、がっしりと根を下ろしており、樹高22m、幹周り3.8m、推定樹齢400年で、周りの低木層も後続樹としてイチイガシが優占して、他にアオキ、ヤブツバキ、アラカシ等も多く植わっていますが、「笛吹神社イチイガシ林」は、奈良県指定天然記念物で、また、新庄町の「町の木」は、「イチイガシ」で、「副木」が「松」です。なお、本殿に向かう石段の途中から、右手の細い道へ入って行くと、「ヒマラヤスギ」の巨樹もありますが、これは今から100年前日露戦争の銃砲兵が持ち帰ったものです。




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