石仏の里「当尾(とうの)」  その4

 眠(ねむ)り仏(地蔵石仏)

 なお、優(やさ)しい笑(え)みをたゝえた阿弥陀如来の両脇に居られる脇侍は、向かって右が観音菩薩で、手に蓮台を持っておられます。また、左の脇侍が勢至菩薩で、両手を合わせて合掌をしておられます。所で、これら阿弥陀三尊像の「笑い仏」の直ぐ左にも写真の様に土の布団にくるまって、何とも言えず良い心持ちで、眠っておられるお地蔵さんがおられます。このお地蔵さんは、長〜い間土の中で休んでおられるので、いつの間にか、「眠り仏」と呼ばれています。眠りながら、それでもしっかりと右手に錫杖(しゃくじょう)を持っておられるから、むやみに揺り起こしたりしない方が賢明ですが、どんな夢を見てるやら。
 不動明王立像(一願不動)

 また、三叉路の所まで戻り、ステンレスの手摺りが付いた急な石段を登って、平地の道に達したら、左へ進み、右に大岩を見て、左の崖下へ50段下りると、「笑い仏」の次は、ちょっと怒っている様な厳めしい「不動明王立像」。竹と杉木立が生い茂る薄暗い藪の中の巨岩に彫られ、高さ約1.2mで等身大の力強いお不動さんで、頭上に開花蓮を載せ、右手には棍棒を持ち、怒っている様な顔だけど何処となくユニークな面持ちです。なお、ここのお不動さんは、1つだけ、一心にお願いすれば、その願いを叶えて下さるので、「一願不動」とも呼ばれ、何時行ってもお花や供物が絶えません。なお、彫られたのは鎌倉時代1287年(弘安10年)です。また、不動明王が彫られている大岩の下から水が湧き、なんとなく湿っぽく、大岩に苔が生えていますが、曲がった急な階段を上がって、湿った所から乾いたコンクリート道に出て左へ進み、更に舗装道路へ出て、また左へ進み、直ぐ行って突き当たったバス停の右奥が、花の寺の「岩船寺」です。
 岩船寺の「石風呂」

 関西花の寺第15番霊場「岩船寺」へは、JR関西線「加茂駅」の南口から、エヌシーバス系統番号10「加茂山の家(岩船寺経由)」行がありますが、平日は2、3時間に1本、土日祝で1時間に1本なので、タクシーが便利です。なお、バス停から直ぐの所に山門が見えていますけど、石段を5段上がる所の左側に「岩船寺」の寺名に因む「石風呂」が有りますが、岩船寺の名も元とは俗称で、昔は寺塔39坊の僧が身を清めてから山門を入ったけれど、今は拝観料300円を払って入ると、正面に木の間隠れの三重塔が見え、平成13年5月末に葺き替えが終って新しくなっています。また、池の手前、右手に本堂が建っています。




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