真言宗「円成寺(TEL 0742-93-0353)」 東海自然歩道(滝坂の道)を国道369号線に出ると、柳生街道随一の名刹、忍辱山(にんにくせん)円成寺(えんじょうじ)で、756年(天平勝宝8年)聖武上皇と娘・ 孝謙天皇の勅願によって、唐僧・虚瀧(ころう)和尚の開基と云う説と、1026年(万寿3年)加賀白山の修行僧・命禅(みょうぜん)上人の開基と云う説もあり、1156年(保元元年)京都仁和寺の寛遍(かんぺん)僧正が東蜜(真言密教)の一派・忍辱山派を起こして寺勢を上げ、江戸時代は寺中23寺、寺領235石を有していたが、明治維新後に寺領を没収され、門前の名勝庭園は平安時代末期の遺構を残した浄土式と舟遊式を兼備した寝殿造系です。 |
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国重文の円成寺「本堂(阿弥陀堂)」 国重文の「楼門」は、応仁の乱の兵火で焼失の後、1468年(応仁2年)再建され、入母屋造、檜皮葺です。なお、本堂へ向かうには、「楼門」に向かってやや左横の本坊から拝観料400円払って入ります。また、旧「本堂」も兵火で焼失していますが、現在の「本堂」は、室町時代の1466年(文正元年)栄弘阿闍梨によって、旧本堂と規模、様式ともそのままに春日造を思わせる藤原期の阿弥陀堂様式で再建され、入母屋造、銅板葺、前面の向拝両側に舞台を設けた珍しい造りです。本尊は藤原末期の国重文「木造阿弥陀如来座像」で、坐高145.4cm、九重の蓮華台座に座り、光背に宝相華唐草透彫りが施されています。 |
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「大日如来」を安置する「多宝塔」 なお、「本尊」は重文の「厨子」に安置され、本尊を守護する持国天、増長天、広目天、多聞天の四天王立像も重文で、須弥壇の四隅に立ち、また、本堂内陣に6本の円柱が建っているが、本尊の前方で、方形に並ぶ4本の柱に「聖衆来迎(しょうじゅうらいごう)二十五菩薩」が色も鮮やかに描かれています。更に、「本堂」右前に平成2年再建され、朱色も一際鮮やかな「多宝塔」が建っていて、中に安置されている国宝「大日如来坐像」は、京都七条仏師運慶(うんけい)が二十歳の頃に彫った金剛界大日で、六重蓮華座に智拳印(ちけんいん)を結んで結跏趺坐し、台座蓮肉天板裏に安元2年(1176年)の墨書銘があります。 |