こもりくの泊瀬「初瀬街道」長谷寺の辺り  その5

 素盞雄(すさのお)神社

 また、「天満宮」の鳥居の前から北へ辿って、初瀬川の「連歌橋」を渡らず、山の方へ上ると、「素盞雄神社」が鎮座しています。948年(天暦2年)神殿大夫武磨が菅原道真の霊を與喜天満宮に祀った時、與喜山は天照大神が降臨の山だから、その弟神、素盞雄命の霊を鎮めねばと云い、ここへ社殿を構えたのが始まりで、本殿東の横井戸から名水「苔の下水」が湧出し、境内北東隅に歌人藤原家隆の卒塔婆「十三重塔」があり、高さ約4m、花崗岩、鎌倉後期の作、また、境内に県天然「銀杏の巨樹」があり、実の成ら無い雄株、樹高37m、枝張り南北23m、東西21m、幹周り7.5m、推定樹齢800年、県下最大級です。
 天然記念物「与喜山暖帯林」

 なお、与喜山(標高455m、天神山)の森林は、昔から長谷寺の寺領として伐採が禁じられ、原生林の状態をよく残していますが、ここに生育する植物は、暖帯性植物の他に、温帯性、寒地性のものも混じり、「与喜山暖帯林」と呼び、国の天然記念物に指定されています。すなわち、初瀬川を挟んで長谷寺の東側に位置する「与喜山」西側の山腹は、暖帯と温帯の境界付近にある土地だから、例外的に暖帯性のツブラジイ(コイジ)、スダジイ等の植物相もよく発達し、温帯性と寒地性も取り混ぜ、その種類は指定地域の周辺も含めて約950種に及び、我が国の暖帯北部における代表的な林相を示す森林として、貴重な暖帯林です。
 県指定伝統的工芸品「出雲人形」

 「与喜山」中腹に鎮座する「素盞雄神社」を下りて初瀬川に架かる朱色の「連歌橋」を渡ると、長谷寺の門前に出ます。ちょっと後ろを振り返って、門前街を見ると、左側に「はせみやげ井上商店」があり、名物「出雲人形」を売っています。「出雲人形」の起源は古く、古墳時代、垂仁天皇の皇后日葉酢姫命(ひばすひめノみこと)が亡くなった時に、野見宿禰が殉死の代わりに埴輪を建てることを提案し、彼が出雲国から連れて来ていた土師達に埴輪を作らせた事に由来し、埴輪造の脈絡が「出雲人形」に受け継がれています。人形は、田に穴を掘って、鋳型にはめた粘土をもみ殻で燃やして作り、後で彩色する素朴な郷土玩具です。




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