「大淀町」  その4
 地蔵山・慈光院「延命寺」

 なお、「石塚」には、大正12年まで役行者を本尊とする行者堂が建っていたことを示す「奥之院一之行場跡」の記念碑が建っていますが、今は近辺に住宅が建って、「石塚」からは、「山上ヶ岳」は見えません。更に旧道を東へちょっと行って、三叉路を右へ曲がると、下りの急な坂の途中にある「身体障害者養護施設大淀園」の辺りから南東はるかに「金峯山上ヶ岳」が望めます。また、急な坂を下りて、国道309号線を東へ向かうと、左(北)側の高台に「延命寺」があります。慈光院操誉智順大法尼が「延命地蔵大菩薩」を本尊として、大正11年に開山され、扉のない山門は地蔵菩薩の広大無礙の本願を現したものだそうです。
 安産(あんざん)の滝

 「延命寺」から南のバス道路へ戻り、東へ行くと、国道169号線に出くわして、北へ向かうと、新芦原トンネルを抜けて「高取町」へ入りますけど、途中のバス停「畑屋口」の手前「畑屋郵便局」の三叉路を右へ曲がって東へ行き、「太王神社」の前を通って更に東へ向かい、右(南)に「吉野カントリークラブ」のゴルフ場が見える辺りから左に曲がって、北へ進むと「壺阪寺」への山道で、坂道を登って行くと、途中に「安産の滝」があります。ここは北の「壺阪寺」から南の田口を通って、「世尊寺」へ通じる街道沿いで、昔からお産をする人が、滝の水に打たれると、安産と云われ、傍に安産(こさずけ)地蔵も立っています。今は、ご利益があっても滝に打たれる人を見かけませんが、昔の妊婦が素朴に信じて滝に打たれている姿をなぜだかゆかしく偲ばせる所です。また、滝の上には「安産寺」と云う安産祈願のお寺がありましたけど、明治5年廃寺になったらしく、近くの田口の集落から離れること数百メートルの山中で、幽隧の僻地です。
 浄土宗「妙楽寺(みょうらくじ)」

 「安産の滝」からまた南へ戻り、三叉路に出くわしたら右(東)へ行くと、大淀町馬佐(ばさ)の集落の中心に戒香山清浄院「妙楽寺」があります。本尊は、「阿弥陀如来」で、1818年(文政元年)に始まる過去帳によると、1552年(天文21年)光誉が開き、当麻寺の奥ノ院の所属だったそうで、1744年(寛保4年)の過去帳遺書では、開基は不明ですが、1551年(天文20年)中興造立とあり、薬師堂の「薬師如来」は室町の作風で、「地蔵菩薩」と「十一面観音」は平安時代の作で、3体の仏像とも江戸時代初期に廃寺になった「安佐寺」から移された像です。また、釣灯籠には万治2年(1659年)の銘あり。




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