きなりのさと「下北山村」  その1
 「前鬼(ぜんき)つり橋」

 「上北山村」から国道169号線を「池原貯水池」沿いに南下して、「前鬼橋」を渡ると、「下北山村」に入り、直ぐ右へ曲がって林道を池沿いに北上すると、道は穴ぼこで、右側は谷底ですから気を付けて進み、やがて谷の幅がぐっと狭くなると「前鬼川」で、この辺り「シシンランの群落地」です。やや険しい林道を約7キロ進んでトンネルを抜けると、右に「不動七重滝」への遊歩道があり、階段を下りて行くと、渓谷に「前鬼つり橋」が架かっています。散策の途中の展望ポイントで、清流のたてる沢音と森の緑が爽快です。なお、遊歩道へ下りないで、林道をそのまま進むと、「不動七重滝」の展望台で、はるかに滝が望めます。
 下北山村前鬼の「不動七重の滝」

 また、林道を「前鬼川」に沿って更に北上すると、「三重滝」もありますが、林道をちょっと戻って、遊歩道へ降り、「前鬼つり橋」を渡って、河原へ出て、大きな岩の間を通り、最後に少し急な傾斜を登り切ると、林道から約1キロで、日本の名瀑百選に選ばれた「前鬼不動七重滝」に至ります。大峰山系南奥駆道の前鬼の宿下にあり、落差約100m、七段に連なり、切り立つ険しい岩肌に沿って、岩をも砕く勢いで水飛沫をあげながら滑り落ち、莫大な水量を誇る瀑布で、大きな滝壺はエメラルドグリーンに輝き、まるで宝石の様に、深い樹木が広がる中で、ひときわ美しい姿を見せ、初夏もさることながら、秋の紅葉も見事です。なお、この辺りは「奈良県吉野郡下北山村前鬼」で、「役行者」が大峯山を拓いた時、生駒山で捕まえた弟子の義寛夫婦(前鬼と後鬼)がこの地に住み着いて、5人の子供たち(五鬼)が「大峯奥駈修験道」の尾根道にある5ケ所の聖地(宿坊)を守護し、今でもその1つ、小仲坊に末裔の五鬼助義之さんがおられます。
 前鬼の巨樹「トチノキ」

 「前鬼川」に沿って約8キロ上った林道の終点から更に徒歩で「釈迦ヶ岳(標高1800m)」の東麓へ約2キロ登った所が、大峯山を開いた「役行者」に仕えていた「前鬼(義賢)」と「後鬼(義覚)」の夫婦が住んでいた「前鬼の宿跡」ですが、そこから更にまた「釈迦ヶ岳」へ向かう登山道を300m行くと、「白谷川」の河原に「トチノキ」の巨樹が15本、谷川に向かってしっかりと太い根を下ろし植わっています。樹高約32m、幹周り7.6m、推定樹齢600年、これらの「トチノキ」は、トチノキ科の落葉高木で、日本の特産種として、各地の山地で谷川沿いによく生えていますが、今では庭木や街路樹にもされ、5月頃径1.5cmぐらいで白色に紅色の斑がある四弁花を多数密集して円錐花序に咲かせ、旱魃(かんばつ)で谷川の水が干上がっても、倒円錐形で径5cmほどの実を沢山付けますが、昔は栃の実を拾い集め、谷川でよく晒してから飢餓の時の救済植物にしていたから、今まで長い間、村の人達に大切に守られて来ました。
 平成の森・コテージ(TEL 07468-5-2177)

 また、林道を「前鬼橋」まで戻って、国道169号線を「池原貯水池」沿いに南下し、「音枝峠」のトンネルを抜けて、左へ行くと、「池原ダム」上を通って国道425号線で三重県の尾鷲市へ至りますが、右へ行って、直ぐ更に右へ曲がり、トンネルの上を通って湖に突き出た半島上を東へ行くと、「池原貯水池」とダムを見下ろす高台に「平成の森」キャンプ場があります。野鳥観察園にバンガローの他に、2階建てのコテージもあり、美しい四季の風景に囲まれながら、自然を満喫できる見所・遊び所満載の別天地で、心身がリフレッシュされ、日頃のストレスを忘れます。なお「きなり」は、まざりけのない純粋と云う意味です。



奈良観光表紙に戻る  「下北山村」周辺図を開く  前のページに戻る   次のページに進む