旧柳生街道「滝坂の道」  その5

 地獄谷国有林、昔は奈良の「捨墓」でした。

 面積103ヘクタールの「地獄谷国有林」は、現在水源かん養保安林で、洪水を緩和すると共に雨が降らない時でも用水を確保する水源地帯であり、なお、空気浄化や騒音を防いで、生活環境を守ったり、森林浴や自然観察で心に安らぎと潤いを与える保健保安林に指定され、檜、杉、赤松の伐採試験地として、森林の景観を保ちながら木林の生産を続け、雨による土砂の流失や、洪水を調整する機能の高い複層林を造る事をめざして、大木から徐々に伐採し、その跡に檜、杉の苗木を植えていますが、奈良時代から江戸時代以前、戦国末期までは、庶民は墓を造らず、死体を野ざらしにし、ここが奈良の捨墓(すてばか、山墓)でした。
 峠の茶屋(TEL 0742-81-0498)

 「春日山石窟仏」から「春日奥山ドライブウェー」を横切って、東海自然歩道を真っ直ぐ東へ向うか、又は、ちょっと遠回りをして「地獄谷石窟仏」から東海自然歩道(柳生街道)へ出て、東へ向かうと直ぐ石切峠(標高450m)で、創業190年の「峠の茶屋」は、自家製の味噌で作った味噌汁と草餅が美味しく、土間を入った居間の鴨居を見上げると、槍と火縄銃がガラスケースの中にあり、昔の武芸者が飲み代のカタに置いて行った物とかで、神道無念流を図解した武芸帳もあります。また、「石切峠」を東へ下った誓多林(せたりん)や、大慈仙(だいじせん)の集落の名前は婆羅門僧菩提遷那がインドの聖跡からとりました。
 誓多林の「八柱神社(八王子)」

 石切峠「峠の茶屋」から東へ下ると程なく誓多林の集落ですが、民家が始まる最初の所、左側にちょっと奥まった所に「八柱神社」が祀られています。なお、八柱または八王子とは、古事記、日本書紀によると、天照大御神(あまてらすおおみかみ)が弟の須佐鳴尊命(すさのおノみこと、素戔鳴尊)と天(あま)の安川(やすノかわ)を挟んで誓約(うけひ)をした時、天照大御神が須佐鳴尊命の剣を折って、水で洗って、噛み砕き、口から霧にして吹き出すと三女神が現れ、また須佐鳴尊命が天照大御神の玉飾りを同様にして、噛み砕き、吐き出すと、五柱の男神が出現しました。この様にして出現した五男三女神が「八王子」です。




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