二上山の麓、當麻の里  その12

 「奥院」の「庭園」

 「奥院の本堂」の裏側は、「二上山」を借景にした庭園で、石組みの中に池を配し、十三重塔等が置かれています。なお、本堂(御影堂)の斜め前の境内から當麻寺の東西両塔(三重塔)が同時に眺められ、境内下の鉄筋コンクリート建て「宝物殿」に、平安時代の蒔絵工芸品の傑作、国宝の「蓮華倶利迦羅龍蒔絵経箱(くりから不動尊経箱)」等が収蔵されていますが、庭園内にも同様の「倶利迦羅不動尊画」を彫った石が置かれ、黒龍が剣にまといついて、正に剣を呑まんとする様を表し、利剣と羅索を合したる相は、不動明王の変相です。また、南側の「楼門」は二階に鐘を吊す「鐘門」ですが、下層は唐様で、上層は純和様です。
 當麻寺の塔頭の1つ、真言宗「西南院」

 また、當麻寺の塔頭の1つ「奥院」を下りて、當麻寺の本堂裏、斜め向かい西南にあるのが「関西花の寺第二十一番霊場」、「仏塔古寺十八尊第八番霊場」等の「西南院」です。拝観料の500円を払って入ると、江戸時代に造られた池泉回遊式庭園の西側隅の回遊路に「水琴窟」が置かれ、耳をすますと、キ〜ンと響く澄んだ音が爽やかです。また「西南院」は花の寺だけあって、春は牡丹が有名ですが、紅葉の秋も良くて、特にカエデが見事で、当院の外、直ぐ裏に建つ當麻寺の西塔(三重塔)ともよくマッチしています。なお、院内には、いずれも国重文の「木造十一面観音立像」「木造聖観音立像」「木造千手観音立像」等を安置。
 真言宗「中之坊(TEL 0745-48-2001)」

 「西南院」の東隣が「護念院」で、そのまた東隣が「當麻寺」の塔頭の1つ「中之坊」です。690年頃(白鳳時代)當麻寺の開創に伴って「役行者」が開かれた道場で、當麻寺で最古の塔頭、後に、740年頃(天平時代)十一世實雅法印(じつがほういん)が女人禁制を解き、中将姫16歳を迎え入れ、姫が剃髪して法如(ほうにょ)の名を授かり、なお、824年(弘仁14年)秋、唐から帰朝された弘法大師が参籠して、授法を仰ぎ真言宗の道場になりました。また、「中之坊」は重文の「丸窓席」や、大和三庭園の1つ国史跡名勝「香藕園(こうぐうえん)」を有し、4月下旬〜5月上旬に、「ぼたん園」で牡丹が見頃です。
 国史跡「當麻寺中之坊庭園」

 中之坊の山門を入って、拝観料を払い、右へ進むと中之坊の本堂(中将姫剃髪堂)が建ち、姫の守り本尊「導き観音」を安置し、本堂の横を通り「香藕園」へ入る門の脇に中将姫の小さな足跡が残る「中将姫誓いの石」と、「役行者加持水の井戸」があり、門をくぐって池泉回遊式兼観賞式の名勝庭園「香藕園」へ入ると、「心」の字をあしらった池に、借景の東塔(三重塔)が見事に映えてその影を落とし、当園は江戸時代の初め、後西天皇を迎える為、片桐石州貞昌によって隣接する重文「茶室(双塔庵、丸窓席)」と共に造営されました。更に「知足庵」の裏を通って北側へ進むと、「牡丹園」、「客殿」、「霊宝館」があります。




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